『子育ちは 次はどうする 追いかけて』

■子育ち12試問■
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
『子育ち第10試問』
【お子さんは,明日を楽しみに生きていますか?】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という5W1Hの問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第101版では,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を分析するキーワードとなる12の試問を選んで育ちを検討していくことにします。その構成は,奇数号では「私の育ち」を,偶数号では「私たちの育ち」という配置をします。私の育ちだけに意識が向くと,私たちという社会性に基づく仕合わせな育ちが疎かになります。あちらこちらで人のつながりに欠陥が見られる現状は,私たちという育ちから得られる「私たち」という意識が未熟だからです。そのことに注目して,羅針盤を手元に設定していただくようにお願いいたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《「明日を楽しみ」ということについて説明が必要ですね!》
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
○育ちのイメージを持たせるには?
子どもは人生の始まりにいますから,時の流れは未体験で実感できません。弟妹がいれば育ちがわずかに見えますが,少子化では無理です。ましてやお父さんに子ども時代があったという育ちの時間など,思いも及ばないでしょう。おばあちゃんがいればお父さんの子ども時代のことを話してやれますから,なんとなく時間の流れが想像できるようになります。子どもに親のアルバムを見せてやることも役に立つでしょう。
今日を楽しく暮らすことになれてしまうと,残された時間は見えなくなります。そのことの弊害はもし今日が楽しくなければすべてダメという思いこみを生みかねないという点です。今日がダメなら明日があるという気持ちの余裕が持てないと,生きることがつらくなることがあります。
縦集団が身近にあると1年先,数年先,10年先と,自分の明日がイメージできます。今日と明日は決して同じではなくて,人は育っているのだということが目に見えてくるはずです。子どもの映像を記録に残しているなら,ときどき子ども自身に成長を振り返らせてやってください。育ったという実感が与えられることでしょう。昔は柱の傷が成長の証でしたが,柱に刻んだ意味はいつでも目に付くようにということだったのです。
・・・育ちとは時間の流れの上にあることに気を配ってください。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
○少子化の中で,親の期待を一身に引き受けて・・・?
親は子どもに期待を持ちます。期待に添わないと「ダメな子」と突き放すこともあります。子どもにすれば親の勝手な思いこみです。いわゆるいい子であれば,その期待に応えようと親の顔色をうかがいながら自分を曲げていき,やがて力尽きて本当にダメになりかねません。
人の育ちは決して一直線ではありません。親が考えているようなレールはありません。親の心は「子どもに苦労の少ない道を選ばせたい」というものですが,どんな道を選んでも苦労のない道はありません。親は子どもの将来を見通せるほどの神通力は持っていないでしょう。例えば今流行の職種は今のことであり,明日には別のものが現れるはずです。つまり,今から今を目指したら,子どもが育った明日には過去になっています。
子どもは親の期待につぶされないように自衛行動をとります。おなじみの「メーカー希望小売価格をズバリ半額」というわけです。そのとき親は子どもを見放したくなります。本当は自業自得なので潔くあきらめて,子どもをあらためて応援してください。
期待は「子どもはこうあるべき」という形を呈する場合もあります。それがママのあせりを生み,「早く,さっさと,きちんと,ちゃんと」と畳みかけるようになります。赤ちゃんにはとても優しいママだったのに,育ってくると声が一オクターブ跳ね上がりしつけのための声変わりをします。落ち着いてくださいね。育ちはゆっくり進みます。スイッチを押したらすぐに反応する機械ではありません。
期待を「ありたい」と考えていれば,将来の可能性をプラスに評価できます。今がダメなのではなく,明日にはできるようになれるかもしれないと待つことです。その方がわくわくしませんか? 親の愛とは無条件に子どものあるがままを愛するのであり,あるべき姿ではありません。
・・・親の期待というお荷物は子どもには重すぎます。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
○親子ともに幸せですか?
毎日子育てにがんばっているパパやママさんは,日々幸せですか? 忙しくてそんなのんびりしたことなど考えたこともないとは言わないで下さい。簡単な幸せチェックをお教えしましょう。夜お休みになるときに「明日の朝,起きるのが楽しみな方」は幸せな人です。もしも,「やれやれ一日がやっと終わった。寝るだけが楽しみ」と思っていたら,不幸ではありませんが幸せではないでしょう。
明日は明日でしなければならないことがいっぱい控えていることでしょう。特に日曜の夜など憂鬱になるものです。明日の朝が楽しみなどとは考えられないと思います。しかし,少しだけでもしたいことを見つければ,明日が楽しみになります。それを見つけることが幸せの扉の鍵になります。
子どもは学校に行かなければならないと思っています。それでも友達と遊ぶ時間といった楽しみがあれば,我慢できます。放課後に自分の好きなことができるという時間があれば,それを待つことによって一日を楽しく過ごせます。
最近の子どもたちは生きている実感を感じるのは「お風呂に入っているとき」と答えるという話がありました。おじさんになっています。やれやれ終わった,ゆっくりできるという楽しみでは幸せにはなれません。なぜならお風呂が終わったら楽しみは消えてしまいます。
明日になったらこれができるようになるかもしれないという,成長を楽しみにすれば,毎日が楽しみになります。大人になって風呂で幸せになっているときは,成長という楽しみを失っているときです。死ぬまで自分を成長させようとする意欲が見えないと,幸せは逃げていくでしょう。子育てをしているときは,親としての成長をしているときで,明日が楽しみになるはずです。それが子どもからの親への贈り物なのです。
・・・生きる喜びを親子で見つけて下さいね!
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
《明日を楽しみにすることが,育ちの意欲の源です》
○親は子どもにいろんなことができるように指導します。勉強させたり,手伝いさせたりして,ちゃんとできたか判定します。できる能力は生きていくためのテクニックです。人はテクニックだけでは生きられません。生きる喜びが不可欠です。子どもには育ちの喜びです。明日が楽しみだからこそ,生き続け育ち続ける気になれます。明日の育ちを気長に待って心から喜んでやって下さい。
【質問10:あなたのお子さんは,明日を楽しみにしていますか?】
●答は?・・・もちろん「イエス」ですね!?

育ちはもう一人の自分が願うようには進みません。当人にとっては未経験のことに常に直面しているのです。何をどうすればいいのか全く分からず,うろうろしていては,先に進めません。何らかの指針が見えていれば,歩き出すことが出来ます。それはどこにあるのでしょう。
★落書き★
いい加減な処置をして,その場をごまかし繕うことを「お茶を濁す」と言いますね。かつて抹茶は貴族や僧侶だけが楽しめる特別な飲み物でした。明治時代に庶民にもお茶が浸透しましたが,抹茶は高価だったため,安価なお茶を飲んでいました。それをなんとか抹茶に見せようとかき混ぜて濁したことから,お茶を濁すという言葉が生まれたと考えられているそうです。