『子育ちは 夢があるから 励まれる』
■子育ち12能力■
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『子育ち第10能力』
【子育ちは,明日の幸せを期待することができることである】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この56版では,子どもが育ちの中で獲得すべき「12のできる力」を考えます。子どもが発揮する可能性を拓いていく営みが育ちだと想定します。ここで述べていく力は,人が生きていく上で必須とされる基本的な力であり,バランス良く獲得されなければならないものです。
《期待するのは何故ですか?》
思い通りにできない自分の弱さに耐えて,今の自分にできることを見つけようとすることが子育ちの第9の能力でした。やれなかったのではなくやらなかった後には,後悔しか残りません。ところで,明日の幸せを信じることができなければ,やってみようという気持ちにはなりません。
毎日を漫然と暮らすのではなく,目標を思い定めておくと適度の緊張感が背中を押してくれます。どんなことでもいいから到達したい展望を持ち,そこにいたるステップとなる目標を定めます。今日はここまで,今週はここまで,今月はこの節目まで,今年はここまで進むという目標を設定します。大まかな計画です。もちろん計画は進み具合に応じて変更を余儀なくされますが,そこは柔軟に対応します。怠けるのではなく,より実現性を高める見直しをするのです。
何処に行こうかという先があやふやな状態では足を踏み出せませんが,あそこに行こうとなると歩きだすことができます。継続は力なり。その継続を促すのが具体的な目標です。継続という努力はゴールを目指して発揮されるものです。
明日に楽しいこと、うれしいことを見つけると、今日をがんばることができます。
親は子どもの弱点を見るとき,今のままでは困るという発想にとらわれますが,今のままであるはずがないと気付くべきです。そうしないと,子どもは明日の幸せに向かって育つ意欲を封止されます。
親は子どもの将来を期待します。その期待に応えようとして,子どもは育ちに励みます。将来の期待は子どもにはとても遠くて重すぎるので,期待を小分けにします。大人になってどうこうという想像が難しい期待ではなく,身近ですぐ届くような分かりやすい期待にしましょう。
チャップリンの映画ライムライトで語られる台詞があります。「生きていくのに大切なことが三つある。希望,勇気,そして些かの蓄えである」。経済的な資産は些かでよいのです。希望と勇気こそが生きている証しというのです。自分にできないことをしようとする無茶ではなく,できることを見つけて実行しようとする勇気は,希望とセットになっているのです。どちらが欠けても,いけないのです。
自殺というあってはならない選択がありますが,日本では若年層が衝動的にという例が多いのですが,欧米では老人が厭世的にということのようです。子どもの自殺に対し原因を追求すると,引金が推測されたり,思い当たらなかったりします。大事なことは,自殺の誘惑という危機を乗切れることです。自殺に引き込もうとする悪魔の誘惑は根絶することは出来ません,個人差もあります。テストが悪く自殺を決意というときに,思いとどまれるのは,「人間(私)の生命は学校の成績とは比較にならないほど尊い」という生きる目的を確信していることです。
幸田露伴が,リンゴの木になぞらえて,幸福の状態を4つに分類してくれています。
有福:おいしい果実を実らせているリンゴの木の持ち主
惜福:樹の健全をはかって,果実をみだりに取ることをしない工夫
分福:ご近所や友達に分けて,皆が得る福によって自分の福とする
植福:種を蒔いたり,苗を育て,手入れをし,利益の源泉を作り出す
植福は,喜びの種蒔きになるのです。明日の幸せという収穫は,今日の種まきという苦労によってもたらされるのですが,人は順序を逆に受け止めて,明日の幸せを目指して今日の苦労はきちんと引き受けようとするのです。
小学6年生が冬休みの宿題の書き初めをしていて,うっかりして絨毯に墨を零してしまいました。ティッシュで拭いたのですが,とれません。習字紙に「ごめんなさい」と書き置いて,高層アパートのベランダから飛び降り自殺をしました。書き初めの文字は「希望の光」でした。レンタルビデオを紛失して自殺をした高校生がいます。卒論の修正が間に合わなくて自殺した大学生がいました。失敗は恐ろしいこと,取り返しが効かないことであり,あまりに脅しが効きすぎていないでしょうか?
★落書き★
子どもの目は澄んでいます。大人の目が濁っているのです。目を使っていると,大気や紫外線に曝され白目が汚れてきます。汚れとは,色素が沈着したり,血管が侵入してきたりした結果です。汚れると,澄んだ子どもの目に比べてどんよりして見えるし,白目と黒目の違いも曖昧になってしまうのです。ただ,今の子どもたちはほんの数年前から見ても目を酷使しているようです。大人になる頃にはどうなるのか,心配です。
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