『子育ちは 転んで起きる 繰り返し』
■子育ち12能力■
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『子育ち第11能力』
【子育ちは,失敗を反省し分析することができることである】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この56版では,子どもが育ちの中で獲得すべき「12のできる力」を考えます。子どもが発揮する可能性を拓いていく営みが育ちだと想定します。ここで述べていく力は,人が生きていく上で必須とされる基本的な力であり,バランス良く獲得されなければならないものです。
《反省してどうするのですか?》
期待できる明日の幸せのイメージを持つことが,子育ちを促す第10の能力でした。このパターンが常にうまく働いているかというと,実際には様々な紆余曲折があります。
子育ちはあっちでぶつかりこっちで転けてよたよたと進みます。そのぶれを経験するから,ぶれなくなる育ちができます。育ちはできる・できないの経験を通して進んでいくものです。
できないことに出会ったとき,何処までできたかを自覚すると自信がつきます。自信というのは,自分は何処までできるかということをきちんと理解していることです。できるつもりであるのはうぬぼれです。何ができて何ができないか,自分を知ることが育ちを確実に前進させる要件です。失敗を反省することが大事ですが,何を反省すればいいかという点を曖昧にしていると,できなかった自分を責める方に向きます。まずできたことを見極めることが正しい反省です。
いろんな局面で,できたりできなかったりします。そのとき,運の善し悪しや環境条件の善し悪しであるとか,人のせいにしたりしないことです。できたときたまたま運が良かった,できなかったら運が悪かったと言っていると,経験から何も得られません。良い結果も悪い結果も自分に結びつけて反省する謙虚な気持ちが肝要なのです。
経験しなかったことはできないという原則を育ちに生かすためには,失敗を許容した上でやらせるということが必要になります。失敗の一歩手前まではちゃんとできていると励ましてやりましょう。
自信は,失敗の積重ねによって獲得できるものです。失敗を体験すると,どこまでできるか予想できるようになり,同時に対策を考えることも可能になります。さらには,失敗の程度も予測することができます。もしも失敗しないままでいると,先が読めずに不安が湧いてきたり,逆に歯止めが掛からずにやり過ぎることもあります。失敗慣れしていないと,失敗したときにどうしてよいか手がかりも掴めなくてパニックに陥ります。「失敗する勇気があるか?」,そこから反省という次のステップに入ることができるのです。
失敗には報酬があります。優等生よりも落第生のほうが人間として厚みや面白みがあるのはなぜでしょうか? 成功は人間の表側を飾るに過ぎませんが,失敗は人間の内面を豊かにしてくれます。自然は人間の成長のために失敗を用意してくれたと思うことができるでしょう。人間が動物より優れているのは,人は失敗によって反省と学びをしていきますが,動物は偶然の成功しか当てにできないからです。
日本のロケットはしくじらないものとして,世界に誇れるものです。しかし,当初からそうではありませんでした。ロケットの研究が始まった東大でのペンシルロケットは,長い試行錯誤の積み重ねでした。失敗した際には,初歩的ミスと叩かれました。しかし新しいことへの挑戦は,実験しないと分らないことだらけです。後で振り返ると実につまらないことだと分かります。人の予知能力は大したものではなく,過信してはいけません。人は失敗することで一人前になっていくと考えて,失敗を育ちの出発としてください。
体験とは,外界とのやりとりを体内に取り込むことです。転んだときに手をつけない不器用な子どもがいるようです。咄嗟の場合に,全身の筋肉をどう働かせるかは神経系の学習に依ります。コントロール能力は,失敗という過不足の体験から,少しずつ修正を繰り返しながら身につけていくものです。ことさらに計画して訓練という非効率なことよりも,普段の生活実践の中で無理なく訓練することが最良の方法です。生活の中で必要とされる課題ができるようになる営みこそが,学習と挑戦の体験になります。
★落書き★
動物は4本足ですが,どうしてでしょう? そんな疑問を持つ人は少ないかもしれませんね。海で誕生した生命は環境変化で陸に進出しました。動物は魚から進化しました。泳ぐためのヒレが陸上では無用になって,胸のヒレが前足に,腹のヒレが後ろ足になりました。人間では前足が手に,鳥では前足が翼になって,2本足になりました。動物の4本足のことは分かりましたが,それでは魚のヒレが前後二つずつであるのはどうしてかなという疑問が出てきます。きりがありませんね。
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