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「第 63-09 章」 |
『子育ちは 今懸命に 生きること』
■子育ち12教訓■
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『子育ち第9教訓』
【日々を生きる】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第63版では,遠い国のある祖父が孫たちに語りかけたアドバイスから,教訓として12のメッセージを,子育て羅針盤風にお伝えするつもりです。
《日々を生きる?》
子どもを見ていて,最も感心することは,精一杯生きているということです。じっとしていなくて動き回り,疲れたらぐっすり眠り,また動き始めます。今という一瞬をしっかりとつかまえていることがうらやましくなります。子どもの寝顔,一日を満喫した喜びにはち切れそうです。子どもの寝顔を見て癒やされる親は,今の一瞬を共有している感動に気付かされるからです。明日も頑張ろうという意欲は,今をつかまえているという実感があるから湧いてきます。
人はどのような生い立ちを過ごしてきたかで,能力や品格が異なります。折角の授業時間に眠り込んでいる学生は,何という無駄をしているのかと思います。今を生きていないのは人生に空白を織り込むことです。今日一日自分は何をして生きていたか,毎夜その問に答がないとしたら,人生に穴を開けていることになります。今すべきこと,今できること,五感を働かせて外界と関わっていること,動物である人は動いていてこそ,人になっていきます。今日を大事にできない人は,成長しない人です。
人生80年。それは最終結果です。人が生きているのは,今日一日です。昨日は既にありませんし,明日も未だありません。自分の手がつかまえることができるのは,今目の前にある物事だけです。今に全精力を集中することが生きているということです。今懸命に食べ,今真面目に努力し,今一心に打ち込み,今無心に眠り,今があることを感謝し,今とあることを喜び,今の自分を尊ぶことが,生きる力の源です。生きるとは今しかないからです。今を失うことを後悔として,人は悲しみますが,手遅れです。
アイドルへの思いが邪な道に迷い込んで,破局へと吸い込まれていく若者の姿が目立ちます。人を好きになることは熱情であることは周知のことですが,その始末の仕方が幼稚です。最も不足している思慮は,自他の別の覚悟です。自分と他人は違うことを弁えることが分別です。分別とは,別であることを分かるということです。自分が好きでも,相手は嫌うこともあるという悲しみに耐える勇気がなければ,人を好きになってはいけません。振られたら,あっさり泣くという潔さを育てなければ不幸になります。
★落書き★
草陰から蚊が飛び出してくる季節になりました。普段は,花の蜜や樹液をなめて暮らしている,じつに温厚な昆虫です。ところがある時期になると,メスだけが血を求めるようになります。出産前,卵を産む数日前,人をちくりと刺すようになります。人間の血に含まれているタンパク質が,卵巣の中にある卵の発育にはなくてはならないのです。子育てのために蚊のメスは吸血鬼に変身しているのです。母親は子どものためなら鬼にもなるということです。でも,同情はしたくありませんね・・・。
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