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「第 63-13 章」 |
『子育ちは 今しかないと 向き合って』
■子育ち12教訓■
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『子育ち第13教訓』
【育つのは今日】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第63版では,遠い国のある祖父が孫たちに語りかけたアドバイスから,教訓として12のメッセージを,子育て羅針盤風にお伝えするつもりです。
《育つのは今日?》
長い年月テレビを見てきましたが,最近のテレビ番組が面白くなくなってきました。内容の浅さもありますが,大きな要因は流れがぶつぶつに細切れになっていることです。テレビ番組の展開に気持ちを添わせていくと,途中でいきなりCMです。CMは昔はもう少し遠慮がちで,今ほど邪魔に割り込んではいませんでした。最近の子どもたちは,細切れのテレビに振り回されて,集中力が欠落しています。のめり込むということを知らなければ,育ちは弱くなります。
育ちはゆっくりと進みます。機械と違って,こうしたらすぐこうなるとはいきません。社会はめまぐるしく動きますが,育ちのペースとはミスマッチです。じっくりと課題に取り組む時間が必要です。今日の育ちが明日の育ちに重なってあさっても重なっていきます。明日から育つということはあり得ません。今日は今日の育ちがあると自覚することで,じっくりと課題に取り組む意欲を持ち続けることができます。育ちは決して先送りできません。明日から取り組む,それはあり得ないのです。
子ども会活動などで,下準備を親が済ませて,子どもは最後の作業だけというやり方をしています。予定前の今日にしておくことを教えないと,何もないところから始める知恵を身につけることができません。○○が無いからできないという言い訳を育てているようなものです。無ければ自分でなんとかする,それが今日から始めるということの意味です。子どもから今日を奪うような子育てをしないように気をつけてください。育ちは,常に今日の始まりにつながっているのです。
心理学者アドラーによる「嫌われる勇気」という書籍が,教育現場で話題になっているようです。だらだらする子を「早く」と急かしてしまうことがありますが,効き目がないことは経験済みです。子どもの時間と大人の時間は流れ方が違うのです。大人は子どもの時間に合わせる力がありますが,子どもは大人の時間に合わせる力はありません。今の子どもに届くように,今の子どもができることを助言して待つ,子育てとは育ちを待つことなのです。
★落書き★
6月はあじさい。漢字では紫陽花と書きます。辞書にも載っているので間違いではないのですが,実のところ,間違いでもあります。紫陽花は唐の詩人白居易(白楽天)の詩にあった漢字を,平安時代の学者源順がアジサイに当てたものであったのですが,白居易の花はライラックだったということです。1000年以上も誤用が続いて,今では間違っていることも忘れられて使われているのです。
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