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「第 64-05 章」 |
『子育ちは 自分の言葉 豊かにし』
■子育ち12教則■
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『子育ち第5教則』
【自分を語ろう】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第64版では,あるお店のスタッフに向けた注意すべき心の持ち方25箇条の中から,子どもの育ち12の教則として選び抜いたものを,子育て羅針盤風にお伝えするつもりです。
《自分を語ろう?》
言葉と言えば,人に対するものと思っています。人に話したり人から聞いたりする時に使うものが言葉です。ただ,言葉にはもう一つの使い方があります。それは自分との対話です。もう一人の自分が自分と対話をするために使われます。独り言のようなものです。思うときや考えるときに,言葉を使っています。暑いなとつぶやくとき,分かったと叫ぶとき,言葉は自分に向かっています。自分を語るために,日記を書くことなども勧められます。自分を語らない言葉は,生きる力に欠けています。
「私は○○です」。この文章をいくつ言えるか,という問いかけをしてみましょう。普通は10程度でしょう。私は女です。私は中学生です。私は絵が得意です。私は猫が好きです。私はピーマンが嫌いです。私は美人です。私はヒロインです。私は一番です。・・・? もう一人の自分が自分をありのままに言葉で語るときに,背伸びせずに萎縮することなく,人との付き合いを持つことができます。自分を言葉で偽っていると,やがてそのずれは自分を傷つけるようになります。
自分の思いを言葉にすると,整理ができて落ち着くことができます。不愉快な目に合ったとき,つい怒りにまかせて相手に対して「消えてしまえばいいのに」と,思うことがあるでしょう。しかしその言葉は自分に中に封じ込めておくものです。口に出して相手に向けてはいけません。そのほかにも,口にしてはいけない言葉があります。子どもは卑猥な言葉を覚えますが,口にしてはいけないと大人がしつけます。自分の言葉とよそ向きの言葉があることを弁えなければなりません。
障がい者は生きてはいけない,という凶行が起こりました。正義のつもりでのぼせ上がっているのですが,言葉の世界が貧困であるからです。豊かな言葉に触れるようにしていると,自分が知らない世界があることを自然に感じるものです。そこには障がい者が生きている世界の存在も認識できるはずです。目の前にその世界をみていても,その世界の言葉を知らなければ,見えないのです。子どもであれば,茶色という言葉を知らないと,茶色の犬は見えないのです。犬なのです。
★落書き★
スポーツをしている子どもたちがいます。トーナメントでは,優勝チーム以外は全て負けることになっています。負けることを「敗北」と言います。北はどういう意味でしょう? 北の字は左向きの人と右向きの人を背中合わせに組み合わせたもので,お互いに背中を向けていることから,そむくことを意味します。敵に背中を向けて逃げるところから北には逃げるの意味もあります。そこで敗北なのです。北でなければならないのです。
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