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「第 70-02 章」 |
『子育ちは 自分と人を 重ねつつ』
■子育ち12目標■
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『子育ち第2目標』
【他人を慈しみ交際できる子どもに?】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。
この第70版では,「子育ち」が目指すべき目標をシンプルに掲げて,確認していくことにします。毎日子どもたちがどこを目指して育っているのか,その育ちが偏っていないか,人として必要な育ちに欠けている部分がないか,その12の必須の目標を,再確認したいと思っていますので,お付き合いください。
《他人を慈しみ交際できる子どもに?》
前号で提示していたように,子どもに決めさせたら,わがまま勝手に育つのではないかと心配されるかもしれません。そこで,次の育ちの目標が登場することになります。もう一人の子どもが自分と周りの人とは同じであると認めることができれば,わがままをいうことはなくなるばかりか,自分の欲を抑えて優しい気持ちを相手に向けるようになります。年下の弟や妹がいれば日常的に自然にそういう気持ちが芽生えてくるはずです。また,親が優しさを受け止める役回りをすることもできるでしょう。
子どもの自立が順調に進むためには,他者を対等に受け入れられるかどうかがポイントになります。人は皆同じという意識が育てば,自分を過大に押しつけたり過小に引きこもったりせずに,社会生活の中でありのままに自分を生かすことができるようになります。その目標達成の前にはぶつかったりけんかがあるでしょう。その修復を当事者に任せることもありますが,友達や大人といった第三者が仲裁に入ることでお互いの思いを理解して握手という和解に至れば,対等な仲間意識が育ちます。
毎日の生活の中で譲るという経験をさせることも有効です。自分が少し我慢して譲ってみると,家族や友達が楽しく喜んでくれることに気がつきます。ありがとうと言ってもらったときの心地よさを体感できれば,譲ることも悪くはないと思うようになります。その思いがあるからこそ,自分が譲ってもらったときにありがとうと素直に感謝することができます。生きるためにはお互い様の譲り合う気持ちが大切であることを,いろんな場面ごとに気付かせてやりましょう。社会性の誕生です。
札幌市の路上で女性が襲われた事件の犯人である中学生が,「人が死んでいるところや,殺すことを想像していた」と供述していました。人の痛みを思いやることができないのは,もう一人の自分が他者と自分を結びつける相互交流能力を欠いているせいです。人の死の悲しさや,殺すという言葉の恐ろしさがもたらす負の悪感情を身につけていないから,一線をあっさりと越えてしまいます。思うだけで自分が恐ろしくなる,その感情が歯止めになるはずです。
★落書き★
ちゅうちゅうたこかいな。昔の子どもがモノの数を十まで数えるとき,「2,4,6,8,10」と言わずに,「ちゅう,ちゅう,たこ,かい,な」と数えました。「ちゅう」は双六用語の「重二(じゅうに)」が変化した言葉で,二を重ねるから「四」の意味に。「ちゅうちゅう」と重ねるから「八」。これに八本足のタコを引っかけた言葉なのです。意味が分かれば,使いやすくなりますね。
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