*** 子育ち12章 ***
 

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「第 85-09 章」


『子育ちは ちょっとしてみて 動き出し』


■子育ち12親心■

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『子育ち第9親心』

【仕事に誘い続ける親心!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第85版では,子どもたちの育ちに寄り添う親がどのような心であればいいのか,確認をするポイントを総括します。子どもの育ちは周りからの多様な支援と結びついて一体化する設計図とも言える様式があります。順序が違ったり,逆につながったりすると,本来の属性が機能せずに,育ちに不都合が織り込まれてしまうこともあります。
 人間として心豊かに育ってほしいという親の願いが,子どもの育ちに寄り添った支援になるためには,日々の子育てを確認することが必至です。子育ての全体を見渡したポイントになる12の指標毎に親からの支援のつながりを確認してみましょう。

○大人が暮らしのためにしている行動を,子どもはごっこという遊びにして真似をします。仕事はしてみて分かることがあります。美容室デビューした女の子がいます。指をハサミがわりに切るまねをして,美容師さんごっこをしています。そこへ,ジージが登場。ジージも切ってもらうことになりました。が…ジージは真っ白な波平さんヘアー。前髪がないことに気づいた女の子は,じーっと固まって真剣に悩んでいます。3歳なりに「ジージに髪の毛がない」と言ってはいけないと思ったようです。結局,髪の毛のあるところへ移動して,何事もなくカットを始めました。仕事に優しさを込めることに気付きました。

 仕事は状況に応じて変幻します。臨機応変に対処しなければなりません。思いもしないことに出会って何とか対応しているうちに,想定内のことが一つ一つ増えてきて,やがて自信が付いてきます。最初の頃のあれやこれやを何とかしのぐためには,励ましと手助けが必要になります。子どもの能力という井戸を汲み上げるためには,始めに誘い水が必要なのです。飛び上がるためには助走が必要と考えることもできます。何はともあれ,何事もある程度の期間続けられるように支えをしてやりましょう。

 これまでの話でお分かりのように,子どもにとっての仕事とは,役に立つことを意味しません。役にも立たないことであっても,子どもが一所懸命に取り組むことであれば,それは子どもにとっての仕事になります。仕とは,するという意味であり,仕事で「すること」を意味します。強いて言えば,食事のように自分のためにすることは除き,他の人と何らかの関わりがあることをすることと考えておきます。そこで,親子で一緒に何かをしてみようと促すことが,仕事への誘いかけにつながります。

 家族や友達で何かをしていると,そこにはいろんな役柄があるはずです。ヒーローやヒロインだけでは仕事になりません。いろんな脇役の経験をすることで,立場が違えばすることも違ってくるものと弁えることができるようになります。それぞれの立場毎に楽しさや喜びがあることに気がつけば,ヒーローでなければ意味が無いといった狭隘な了見を脱ぎ去ることができるでしょう。遊びを通してロールプレイイングができるように,いろんな種類の集団の中に入る機会を与えてやりましょう。

 子どもは面白いことをしようとします。ところで,面白さはしてみないと分からないという原則があります。例えば,美味しさは食べてみないと分からないのと同じです。何事もする前は面白いかどうかは分からないということを理解させるために,とりあえずしてみるという最初の踏み出しに手を貸すようにします。親が楽しそうにしてみせると,してみようかなという気持ちになるでしょう。家の片付けでも,親が嫌々していると,子どもだって嫌だなと思うはずです。どんなことも,どうせするなら,歌を歌いながら楽しくしましょう。

 この頃の子どもは自分に合うものを求めようとしますが,自分を合わせるということを覚えなければなりません。することの好き嫌いをはっきり言うことが個性の発揮だと勘違いをしています。豊かさとは選ぶことができることですが,物事を選ぶのはそれなりの素養を身につけてするものです。実績も経験も未熟な育ちの途中では,好き嫌いを言う段階ではありません。修業時代というと古い感覚でしょうが,少しだけ嫌なことに出会うことも必要なことです。我慢してこそ喜びが手に入るという経験をさせないと,ひ弱になります。

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※お仕事を拒否する子ども,理解していない子ども,間違っている子どもには,たゆまず仕事への誘いかけを続けなさい。
 本当にお仕事に出会っていないので,その喜びを知らないのです。その出会いへの援助が親の役目です。



 お兄ちゃんが自転車に乗っています。ハンドルを握ってペダルを漕げば自転車は動くと,見ていれば分かります。分かっているから自転車に乗れるかというと無理です。見えないバランス感覚の習得が不可欠ですが,それは実際に乗ってみないと見付かりません。どんなことでも,知っていることとできることの間には溝があり,そこを越えるには練習という手立てしかありません。練習とは努力の行動形です。闇雲にあれこれするのではなく,正しい方法に沿った努力,練習をさせなければなりません。

★落書き★

 ド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シ,ド。幼いときから覚えている音階です。誕生したのは11世紀の中世のヨーロッパです。グイード・ダレッツォというイタリアの修道僧が考案者です。音階に名前がないことを不便に思っていた彼は,「聖ヨハネ讃歌」という曲の音節が一音ずつ高くなっていくことに気づいて,各音節の頭文字をとって「ウ,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,サ」という音階名を定めました。これが後に発音しやすいように今のように変わったのです。


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