*** 子育ち12章 ***
 

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「第 86-05 章」


『子育ちは 過ごす時間の 積み重ね』


■子育ち12正負■

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『子育ち第5正負』

【時間を有効に活用する!】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第86版では,子どもが育っていく方向があるべき正しい場合と逆の負の場合をセットにして考察していきます。育ちの進み方はふらふらしますが,正しい向きであることを見守っておかないと,逆に逸れたままにしておくと,戻り損ねます。後悔しないために,見届ける際の参考にしてください。

【正の育ち:時間を有効に活用する】

●時間の管理では,切り替えの速さが大事です。いつまでもダラダラとして転換できないと,その中途半端な時間が無駄になります。とても寝付きが良い3歳になる息子がいます。夜寝るときにお話をせがまれるので,親は『桃太郎』の話をしているのですが,桃が流れてくる頃には寝息が聞こえてきます。まだ一度も桃太郎が出てきません。たまには鬼退治の話もしたいと語り部は思ったりしているようですが。寝る子は育つということで,育ちを優先させましょう。

○「早寝早起き朝ごはん」という運動が進められていました。言い換えると,規則正しい生活,生活のリズムの確立です。具体的には,時間の経過に従った生活パターンを作り上げることです。時間割とか計画という時間に沿った活動をするように心掛ければいいのです。時間は貯めておいたりよそから持ってきて継ぎ足したりはできません。限られた時間しか持ち合わせていないのですから,無駄な時間はつくらない方がいいに決まっています。その自覚ができるようになればいいですね。

○時間を有効に使おうとするとき,陥りやすいことが,手間暇を省くという割愛です。物事はすべて段取りに沿って起承転結を踏みます。準備や熟成といった一見無駄に見えるステップも,欠くことはできません。子どもの育ちは一歩一歩進むものであって,脇の抜け道はありません。5歳には5歳のしておくことがあります。子どもらしい生活を日々繰り返すことで,育ちは積み上がっていきます。有効という評価を見た目に頼って取捨選択を誤らないようにして下さい。

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【負の育ち:時間を主体的に創らない】

●子どもの時間的な処理速度と現実世界がずれるのは仕方がありません。間に合わないということを経験しながら,時間内に事を運ぶという要領を覚えなければなりません。3歳の娘が保育所から帰ってきて,おばあちゃんに棒付きアイスをもらって食べていました。ところが,アイスの溶けるほうが早く,棒から手へ落ちてきます。それを見て娘は「アイスが引っ越してきた〜」。大人の目ではそのような引越劇ははじめてのことでした。処理速度を速める能力を獲得すれば,現実に適った時間世界に暮らせるようになります。

○何となくぼんやりと時間を過ごしてしまう,それが日常であるなら,気持ちの張りを持つことで,自分の時間を取り戻すことができるでしょう。ぼんやりと過ごしてしまうのは,何をするかを決められない場合です。すべきことがあっても面倒だな嫌だなと逃げている場合もあります。ゲームに耽ることなどは論外にして,没頭できること,コツコツと作業すること,本を読むこと,手伝うこと,生活に関わること,身の回りにすることはいくらでも転がっています。手を出しさえすれば,ぼんやりした時間が生き返ります。

○時間には個人の時間と社会の時間があります。社会生活をするためには,都合を付けるという処理が不可欠です。時間を関係者の間で調整しなければなりません。調整できなければ,事は運ばなくなります。社会的な活動に割く時間は主体的に創らなければなりません。子どもの場合は,夜更かしして朝が眠いままに学校の授業に突入すれば,眠い頭には入る知識は限られて,時間を有効に利用しているとは言えなくなります。約束して皆と一緒に行動できるようにすることも,社会的時間に自分の時間を合わせることで実現します。



 時間を確実に活用するためには,計画を立てることが有効です。ところで,計画を立てるためには,目標を設定しなければなりません。その目標を具体的に実現するステップを策定して,時間に沿って現在から将来に向けた工程が整備されます。目標の設定が適切でなければ,計画に無理無駄というバグが紛れ込みます。いつまでにこれを実現する,その目標に向かって努力する,それが時間という人生を充実したものにする王道です。目標が定まらなければ,努力する気力は湧いてこないでしょう。

★落書き★

 美味しいものを食べたとき,ヤバいと言っています。アメリカ人はデリシャスとかスイートなどと言います。これは料理に対する賛辞ではあっても,うまさに触れた言葉ではありません。欧米には,甘い,酸っぱい,塩辛い,ピリッと辛いの四つの味しかなく,うまいを表現する言葉がないからです。日本には「うまみ」という言葉があります。中華料理の「苦み」に次ぐ第六の味覚で,奈良時代の発酵食品の発達で完成した,日本特有の味なのです。


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