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「第 86-06 章」 | 4
『子育ちは 目当て表す 言葉持ち』
■子育ち12正負■
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『子育ち第6正負』
【常に明確な目標を指向する!】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第86版では,子どもが育っていく方向があるべき正しい場合と逆の負の場合をセットにして考察していきます。育ちの進み方はふらふらしますが,正しい向きであることを見守っておかないと,逆に逸れたままにしておくと,戻り損ねます。後悔しないために,見届ける際の参考にしてください。
【正の育ち:常に明確な目標を指向する】
●親は子どもに将来のことを尋ねることがあります。お母さんが2歳6か月の息子に,「大きくなったら何になりたい?」と聞いてみました。「ばいきんまん!」と力強く答えが返ってきました。「アンパンマンじゃなくて?」と何度聞きなおしても「そう,ばいきんまん」。そこで「ばいきんまんになったら何をしたいの?」と質問を変えてみました。すると,「んっとね,アンパンマンと楽しく遊ぶの!」。それも悪くないと思い,否定しないことにしました。脇役がいてこその主役なのです。
○どんなに小さなことでもいいですから,明日の楽しいことを見つけるようにすることです。学校であれば,きらいな教科のことより,好きな教科を楽しみにするようにします。体育でも音楽でも理科でもいいですし,休み時間でも,給食でも,帰りの道草でも,何でもいいから楽しいことを必ず見つけます。楽しいことがあれば,嫌なつらい時間があっても我慢することができます。そうすることで,明日に続く未来に向かう明るい気持ちが湧いてきます。明日が嫌だなと思っていたら,今日までもが暗くなります。
○目標とは,ちょっと頑張ればできるかなと思われるようなことにしておきましょう。こうありたいという夢を目標に据えたら,やる気が打ち砕かれます。例えば,小さな子どもがママから少し遅れたら懸命に走って追いかけてきますが,かなり離れてしまうと追いかけることをせずに座り込んでしまいます。子どもは小さなステップの先にある目標を追いかけます。明確な目標とは,できそうだと子どもが思える目標であると考えて下さい。大人になってから届くような目標は,子どもには遠すぎて手を出すことはしないので,無駄なのです。
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【負の育ち:目標が漠然としている】
●行動を引き出すためには,きちんとした言葉による表現が不可欠です。例えば,たくさんとか少しといった曖昧な言い方では,行動をしにくいものです。あれこれという代名詞は通じにくさがあります。3歳の息子が,棚の上の何かを指さして「あれ取って!あれ!あれよ!あれ!」と言います。「『あれ』じゃ,何がほしいかわからないよ。ちゃんと名前を言って!」と言うと,息子は「たろうです!」と。アンタの名前じゃなくて!と思いながら,会話の難しさを感じていました。
○どこかに行きたい! それは多くの場合,ここにいたくないということでしかなく,行動的ではありません。具体的に水族館に行きたい,動物園に行きたいとなれば,行動を起こすことができます。のどが渇いた,その意識レベルでは,動きはありません。冷たい水が飲みたい,そこで始めて,冷蔵庫に手を伸ばすことができます。しあわせになりたい,その曖昧さのままでは何も始められません。だから,しあわせにしてくれる人を探そうとし,頼ろうとします。それでも,漠然としているので,結果は出ません。
○何のために勉強しているのか分からないまま勉強しているなら,時間の無駄でしかありません。大層な目的意識などは後のこととして,当面は,算数で九九を覚えるという目標,国語で漢字を覚えるという目標,理科で力の不思議に気付く目標,いろいろな目標を達成しようとして勉強をしています。「今日は何の勉強した?」,「割り算の仕方」。割り算ができるようになる,それを目標と意識することができさえすれば,きちんと追いかけていくことができるのですが・・・。そのような目標意識がないから,勉強が嫌いになります。
育ちは前向きな営みです。後ろ向きであれば,育ちはできません。前向きであるためには,可能性を信じなければなりません。おそらくできないだろう,どうせ無理に決まっている,そういう心得であれば,可能性の芽がひねり潰されてしまいます。可能性を信じることは,何とかなるだろうと思うことです。何とかしよう,それが前向きであるということです。「何とかなる」,そういう言葉が口をついて出てくるようであればいいですね。
★落書き★
車は生活にすっかり溶け込んでいます。ところで,運転席の隣の席を助手席と呼びます。助手席に座った人は何かお手伝いをしないといけないのでしょうか? 隣でイビキをかいていては助手ではありませんね。かつてタクシーが登場したとき,タクシー運転席の隣には本当に助手が座っていました。車が未だ特殊な乗り物であったのです。車の発達で助手が要らなくなったのですが,名前だけが居残ってしまったのです。
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