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鋼鉄都市/I.アシモフCaves of Steel/I.Asimov |
1954年発表 福島正実訳 ハヤカワ文庫SF336(早川書房) |
殺人現場となった“宇宙市”はもちろん、外部から出入りできない密室ではありませんが、正規の入り口から凶器を持ち込む手段はなく、他の経路、すなわち“シティ”の外部を経由することは、地球人には心理的に不可能という状況です。このように、SF設定によってはじめて成立する不可能状況であるというのは、非常に面白いと思います。 そしてその真相は、殺人犯である人間と、凶器の運び屋であるロボットとの組み合わせというもので、作中で提示される“C/Fe”手段そのものです。SFのテーマがミステリの真相に反映されるという、非常にエレガントな解決といえるでしょう。 そして、ミステリとしての結末の後には、閉ざされた鋼鉄のドームを離れて宇宙へ進出するという、壮大なビジョンが示されています。純粋にSFとしても、非常によくできた結末だと思います。 2005.03.10再読了 |
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