ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい |
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト/作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.16 > 悪魔のような女 |
悪魔のような女/ボアロー/ナルスジャックCell qui n'etait plus/P.Boileau & T.Narcejac |
1952年発表 北村太郎訳 ハヤカワ文庫HM31-3(早川書房) |
現在では比較的わかりやすいネタかもしれませんが、やはりよくできていると思います。中盤で登場するミレイユの兄・ジェルマンが、かなりエキセントリックな人物として描かれていることも、ある意味でミスディレクションとして機能しているようにも感じられます。 しかし、最大のミスディレクションは、ミレイユ“殺し”の際にリュシエーヌが見せた態度でしょう。いかにラヴィネルの視点で描かれているとはいえ、不安そうな態度だったことがはっきりと書かれているので、なかなか疑いを向けにくくなっているのではないでしょうか。もちろんラヴィネルはまったく疑惑を抱いていません。しかしこれも演技だったわけではなく、リュシエーヌ自身はラヴィネルを裏切って別の計画を進行中だったのですから、不安そうな態度になるのも当然ともいえます。
後半の幻想的な恐怖とはうってかわって、ラストの |
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト/作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.16 > 悪魔のような女 |