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銀河忍法帖/山田風太郎 |
1968年発表 角川文庫 緑356-11(角川書店) |
ネタバレなしの感想にも書きましたが、忍法対近代兵器という同じ構図が登場する『軍艦忍法帖』との間には、作中の年代で250年の開きがあります。つまり、大久保長安のサイエンスという財産が失われた結果、日本は250年の長きにわたって停滞したとも考えられるわけで、最後の味方但馬の叫びもまったく大げさではなかったということになります。 その結果をもたらしたのは、本多佐渡守の深謀遠慮。その是非はともかくとして、計画の遠大さと、六文銭の鉄(雲母鉄平)への密命に込められた執念には圧倒されます。そしてまた、その背景となった、長安と家康の間に横たわる深い溝、あるいは決して埋めることのできない器の差が、絶望的な虚無感を生み出しています。長安が打ちのめされてしまうのも当然かもしれません。 最後に、朱鷺と鉄とのコンビにも終止符が打たれます。お互いに惹かれ合いながら、不倶戴天の敵となることを定められた二人の末路は、凄絶な美しさをたたえています。 2004.03.26読了 |
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