銃、ときどき音楽/J.レセム
Gun, with Occasional Music/J.Lethem
1994年発表 浅倉久志訳(早川書房)
この世界の特徴の一つであるドラッグが真相にかかわってくるところがよくできています。ただ、この“健忘剤{フォーゲットール}”というドラッグの効果が、今ひとつはっきり書かれていないように思うのですが……使っている間の体験は記憶に残らない、ということでしょうか。
作中でもメトカーフが指摘しているように(296頁)、誰がどの探偵を雇ったかが重要になっています。スタンハントが途中からフォーンブラムに任せてしまったのが運の尽き、というところでしょうか。
第一部の最後でメトカーフがいきなり冷凍されてしまったのには驚きました。ラストでもメトカーフは再び冷凍されることになりますが、“現在”が最悪ならば、未来へ逃れるという選択肢もありなのかもしれません。
2005.04.07読了