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妖異金瓶梅/山田風太郎 |
2001年刊 扶桑社文庫S10-1 昭和ミステリ秘宝(扶桑社) |
この作品のミステリとしての最大の特殊性は、探偵役と犯人との関係にあります。探偵役が犯人を見逃すどころか、積極的に協力(「麝香姫」参照)さえしてしまうという関係は、前代未聞といえるのではないでしょうか。また、必然的に、探偵役である応伯爵がその推理を披露する相手が、(ボーナストラックの「人魚燈籠」を除いて)真犯人である潘金蓮ただ一人となっているのも特徴的です。 「凍る歓喜仏」以降、西門慶の死を引き金として物語は長編化していきます。いわゆる〈連鎖式〉に近い形ですが、この作品では全編を貫くどんでん返しが用意されているわけではありません。しいていえば、潘金蓮の犯罪の陰で春梅が予想以上に大きな役割を果たしていた可能性が示唆されていることくらいでしょうか。あえてどんでん返しを用意するとすれば、すべてが春梅による“操り”だったことにしてしまうという手もあるとは思いますが、明らかにこの作品で描かれた形の方が美しいでしょう。 |
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