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魔境殺神事件/半村 良 |
1981年発表 祥伝社文庫 は1-22(祥伝社) |
“殺神事件”については、“どうやって死体を空中に浮かべてあるのか?”というところは早い段階で超能力ということで決着がついてしまうのが、ややもったいなく感じられます。また、その後の中心となる犯人探しですが、双子という真相には拍子抜けです。もちろん、“被害者”であるガズニサムがジャンミスタンで最強の超能力者だったことや、ガズニサムの母親が“呪われた存在”だったという噂など、真相へとつながる手がかりはあるものの、微妙にアンフェアな雰囲気が漂います。 しかし、事件の動機は非常によくできていると思います。“呪われた存在”である双子を抹殺すると同時に、“神の復活”を演出してその権威を強大なものにするという動機は、まさにこの舞台特有の、SFミステリの醍醐味を感じさせてくれるものです。また、探偵役となるはずだった松田の扱いも非常にユニークなものといえるのではないでしょうか。 2003.02.14読了 |
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