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呪い/ボワロ&ナルスジャックMalefices/P.Boileau & T.Narcejac |
1961年発表 大久保和郎訳 創元推理文庫141-04(東京創元社) |
エリアーヌを襲う災厄の真相は、かなりわかりやすいと思います。というよりも、合理的な解決としてはこれしかないといってもいいでしょう。このあたりは、登場人物が限られていることの弊害ともいえますし、ミスディレクションも特に仕掛けられていないように思えます。しかし、この作品では真相自体はさほど重要ではありません。事件の謎さえも、ドラマ性に奉仕しているといえるのではないでしょうか。 真相を明らかにするロンガへの手紙の後、ラストのエリアーヌの明るさがあまりにも皮肉です。ローシェルが自首することも知らず、ただひたすらに彼が自分の元へ帰ってきたことを喜んでいるエリアーヌ。彼女は、ローシェルがミリアンの死に関わっていたのではないかという疑いを、まったく持たなかったのでしょうか。無垢にさえ感じられる彼女を襲うであろう新たな悲劇を思うと、胸をつかれます。 2001.01.29読了 |
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