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中性子星/L.ニーヴン

Neutron Star/L.Niven

1968年発表 小隅 黎訳 ハヤカワ文庫SF400(早川書房)

 一部の作品のみ。

「中性子星」
 『太陽系辺境空域』「あと知恵」によれば、実際にはベーオウルフ・シェイファーは助からないようです。物理には詳しくないので定かではありませんが、おそらく宇宙船を“中性子星に船首を向けたままの姿勢”(31頁)から動かせないようでは、BVS-1の周回軌道に捕らえられてしまうということではないでしょうか。
 なお、結末ではパペッティア人が潮汐力を知らないことになっていますが、『リングワールド』の内容(「薔薇飾り{ローゼット}あたりを参照)を考えると、それはあり得ないのではないかと思われます。

「帝国の遺物」
 寺沢武一の漫画『コブラ』に、この作品のステージ樹と似たような樹木が登場するエピソードがありました(使い方はまったく違いましたが)。ちなみにそのエピソードには“ロングショット号”(→「銀河の〈核〉へ」)という言葉も登場していたので、本書が下敷きにされたのは間違いないと思われます。

「ソフト・ウェポン」
 様々な機能を兼ね備えた武器という前提から、スパイ用であることを導き、自爆装置が備わっているはずだという結論に至る推理には、なるほどと思わされます。さらに、その自爆装置のトリガーに関するものすごいアイデアには脱帽です。

「フラットランダー」
 「中性子星」でゼネラル・プロダクツ社製船殻の頑丈さが印象付けられているだけに、それが崩壊してしまった場面のインパクトが一際強烈なものになっています。

「狂気の倫理」
 P.アンダースン『タウ・ゼロ』を思い起こさせる、減速不可能な状況が印象的です。

「恵まれざる者」
 グロッグの周囲に排泄物が残っていないという手がかりが非常に秀逸です。
 グロッグの生態で気になるのが、交尾後の雄の運命です。雌ならば定着して子を生み、育てる(その能力で子をコントロールする)という役割がありますが、雄が定着生活に入ると(種にとっての)存在意義がなくなってしまうように思えます。

2006.08.17再読了

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