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かげろう忍法帖/山田風太郎

2004年刊 山田風太郎忍法帖短篇全集1 ちくま文庫 や22-16(筑摩書房)

 一部の作品のみ。

「忍者撫子甚五郎」
 まず、撫子と甚五郎という二人の忍者が主役になっているところが面白いと思います。激しい騙し合いの果てに、結局は小早川秀秋の裏切りという皮肉な結末が用意されているところが秀逸です。

「忍者本多佐渡守」
 大久保相模守を追い落とすというただ一つの目的のために、様々に繰り広げられる本多佐渡守の権謀術数。その遠大さにはやはり圧倒されます。そして、その薫陶を受けた土井大炊頭によって自身が排除されてしまうという皮肉な結末も強烈です。

「忍者服部半蔵」
 妻と決めた遊女・夕波を賭けて背水の陣で臨んだ勝負でさえ、圧倒的な力の差で敗れ去った京八郎。この敗北と、最後の勝負との大きな落差が、“服部半蔵”の名に秘められた魔力を際立たせています。

「忍者帷子乙五郎」
 『忍法忠臣蔵』とは違って、とねが自ら死を選んでいるところに、乙五郎にとっての救いがあります。また、凄惨な結末に込められた乙五郎の意図も印象的です。

2004.04.23読了

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