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女王の百年密室/森 博嗣 |
2000年発表 (幻冬舎) |
密室トリック自体はいわゆる“見えない人”のバリエーションですが、それが〈ルナティック・シティ〉独自のルールによって生み出されているところがポイントでしょう。“目にすれば失い、口にすれば果てる”というルールによって守られた“神”による犯罪は、動機(“死”を認識している)・手段(目撃しても証言する者はいない)の双方を満たすものです。なお、これに関連して、352〜353頁にある、映像記録が残ると神にとって不都合なためにビデオカメラが設置されていない、というミチルの発言が印象に残ります。 “ミチル=アキラ”という正体の手がかりは中盤にあからさまに示してありましたが、ロイディの方にミチルの頭脳が入っていることまでは予想できませんでした。しかし、身も蓋もない言い方をすれば、このシステムはかなり効率が悪いように思えます。特に、ラストでロイディの回路と直接接続することが示唆されているため、アキラの体の存在意義が薄れているように感じられます。アキラの体が年老いて死んでしまったときに、ミチルはどういう選択をするのでしょうか。 ところで、露骨に“マイ○ル・ジャクソン”と“ビル・ゲ○ツ”を連想させる“マイカ・ジュク”と“ビー・ジー”というネーミングは、ちょっとやりすぎのように思えます。 2001.08.18読了 |
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