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大鴉殺人事件/E.D.ホックThe Shattered Raven/E.D.Hoch |
1969年発表 山本俊子訳 ハヤカワ・ミステリ1186(早川書房) |
本書では冒頭で犯人の名前(ビクター・ジョーンズ)が明かされていますが、これは単なる趣向ではなく、ミスディレクションとしても大いに役立っているといえます。つまり、犯人は別名で世に知られているわけですが、アメリカ探偵作家クラブが舞台となっているため、別名=ペンネームという連想が働き、容疑の対象を作家たちに限ってしまいやすくなるのではないでしょうか。 そしてもう一つ、ややとってつけたようにも感じられるバーニーとスーザンのロマンスが、読んでいる途中で少々鼻についたのですが、犯人が捜査の進行状況を知るために欠かせない要素であったわけで、このあたりは正直脱帽です。 残念ながら、ダイイングメッセージそのものはピンとこない(グレアム・グリーンについてはよく知らないので)のですが、その他の部分がよく考えられた、佳作といってもいい作品だと思います。 2003.12.03読了 |
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