ネタバレ感想 : 未読の方はお戻り下さい |
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト/作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.40 > 魔の淵 |
魔の淵/H.タルボットRim of the Pit/H.Talbot |
1944年発表 小倉多加志訳 ハヤカワ・ミステリ1701(早川書房) |
この作品では、一つ一つは小さな謎が多数積み重ねられていますが、それらの謎のほとんどを作り出したのが殺人犯以外の人物だというところがユニークです。犯人のオグデンがやったのはアイリーン殺しのみで、密室の中で頭を割られたという不可能犯罪の様相を呈していますが、これも彼の意図しなかった偶然によるものです。そして、残りはすべて魔術師・フォックの一人舞台だったわけです。 フォックが次々と仕掛ける怪事によって、犯人のオグデンは精神的に追いつめられていき、最終的には命を落とします。これも因果応報というべきでしょうか。 最後にようやく謎を解いた探偵役のローガンは、フォックを手伝うように事件の後始末に手をつけます。徹頭徹尾、探偵役(フォックとローガンの二人)によって演出された事件といえるでしょう。 2002.05.10読了 |
黄金の羊毛亭 > 掲載順リスト/作家別索引 > ミステリ&SF感想vol.40 > 魔の淵 |