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死者の輪舞/泡坂妻夫 |
1985年発表 (講談社) |
この事件が“リレー殺人”であることは早い段階で示されているので、読者の興味は“どういう結末になるのか?”に絞られることになりますが、考えられるのは次のどちらかでしょう。
A) 直線状(最後の犯人は殺されない)
B) 輪状(海方の悪夢のように、最後の犯人が最初の被害者に殺される)
ここで作者は巧妙な手段をとっています。まず、主犯の柳矢の計画は、
六山 ← 筒見 ← …… ← フサ ← 勝畑 ← 六山
というB)のパターンと見せかけて、
六山 ← 筒見 ← …… ← フサ・勝畑 ← 柳矢
のようなA)のパターンになっているというものです。ところが作者はさらに、柳矢自身が本物の六山の仕掛けで殺されてしまい、結果的にB)のパターンが完成するというどんでん返しまで用意しています。読者の想像を超えた、見事なプロットといえるでしょう。 個別の事件についてはさほどのネタはありませんが、立田一圓の死については触れておくべきでしょう。一度は“リレー殺人”の可能性を考えた海方にとって、ミスディレクションになった(というより、楽に事件を終わらせる機会を与えることになった)ということもありますが、何よりもあの長編((以下伏せ字)『乱れからくり』(ここまで))に通じる現象にニヤリとさせられる読者も多いのではないでしょうか。 2001.06.24再読了 |
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