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日時計/C.G.ランドン

The Shadow of Time/C.G.Landon

1957年発表 丸谷才一訳 創元推理文庫419(東京創元社)

 最大の難点はやはり、犯人グループの行動です。まったく必然性がないにもかかわらず、律儀に同じ場所で同じ時刻に写真を撮影しているのは、ご都合主義といわざるを得ないでしょう。場所の特定に不可欠の条件なのはもちろんですから、何かしら犯人にとってのメリットがありさえすれば、十分に納得できたのですが……。

 そしてもう一つ。送られてきた写真とは違って、おそらく危険を感じたジャックの指示により、マーガレットは髪を短く切られた上に黒く染められています。これはつまり、マーガレットを別の場所へ移すことができない事情がある中で、ケントたちが城館にたどり着く可能性を考慮に入れて対応策をとったということでしょう。そこまでやっておきながら、マーガレットを空き地で遊ばせていたというのは、どうにもちぐはぐな行動に思えてなりません(3歳の女の子を人目につかない場所に閉じ込めておくのは、決して難しいことではないでしょう)。絶対に発見できるわけがないと高をくくった犯人たちが、何の対応策もとらなかったという方が、よほど筋が通るのではないでしょうか。

2004.08.29読了

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