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新本格猛虎会の冒険/有栖川有栖・他

2003年発表 (東京創元社)

 一部の作品のみ。

「五人の王と昇天する男達の謎」 北村 薫
 “シェー”のポーズから“二4”という数字を導き出し、ジャイアンツの高橋と仁志に当てはめるだけでもよくできているのですが、“五人の王”(実際には“五人の大”)と組み合わせてタイガースの方へひっくり返しているのがうまいところです。そして、最後の“シェー・スタジアム”に至っては、もはや何もいうことはありません。お見事。

「黄昏の阪神タイガース」 エドワード・D・ホック
 目に見える状況をひっくり返すとすれば、この真相しかないでしょう。また、手がかりもありきたりです。しかし、タイガースのファンのためのアンソロジーで、架空とはいえタイガースの選手を犯人としてしまうのは意外といえるかもしれません。

「虎に捧げる密室」 白峰良介
 犯人の動機が何とも身につまされます。それにしても、真相を見破った射手矢警部ですが、ビデオの日付に違和感を覚えるほどタイガースにのめり込んでいるというのには、少々呆れてしまいます。

「犯人・タイガース共犯事件」 いしいひさいち
 “かくれ巨人ファン”という最後のオチはなかなか意外です。しかし、よく見ると扉絵がネタバレです。

「甲子園騒動」 黒崎 緑
 男の子を女の子に見せかけているという真相は面白いと思うのですが、それを見破る手がかりにはやや難があるように思います。また、バッグの扱いも少々強引です。
 なお、ご存じの方にはいうまでもないことですが、“カットサロン・オカムラ”にピンとこない方は、『しゃべくり探偵の四季』に収録された「注文の多い理髪店」をお読み下さい。

「猛虎館の惨劇」 有栖川有栖
 “虎づくし”を追求していけば、やがて本物の虎にたどり着く、というのは納得できるところです。そして、首切りの理由にもなるほどと思わされます。ただ、最後のオチは少々悪趣味か。

2003.08.01読了

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