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UMAハンター馬子 完全版1&2/田中啓文 |
2005年刊 ハヤカワ文庫JA780/784(早川書房) |
- 「第1話 湖の秘密」
- 実は、冒頭の場面、よだれ(?)が空中で消えていることで、リュッシーの正体は見当がついてしまいました。が、出現箇所の分布から地縛霊という真相が導き出されるところは秀逸です。
- 「第2話 魔の山へ飛べ」
- 最後に示唆される、黒孔山=ブラックホールというネタは強烈です。
- 「第3話 あなたはだあれ」
- キツネと見せかけてオオカミという真相は面白いと思います。
“金毛九尾の狐”にまつわる手がかりは結構露骨ですが……。
- 「第4話 恐怖の超猿人」
- ヒバゴンの扱いが今ひとつなのは、やはりダジャレが作りにくかったせいか(笑)。「ヒダゴン篇」になると左甚五郎やら“ひだりがみ”やら、さらにはヒダゴン→ダゴン→河童など、様々なアイデアが盛り込まれています。特に“ひだりがみ”の真相はなかなか面白いと思います。
物語の終盤(『完全版2』の104頁)になるまで“伊豆鼠村”にルビがふられていないあたりが芸が細かいというか。しかし、日本語なのに“いずまうす”(“インスマウス”のダジャレなのはいうまでもありません)はないだろうと思います(苦笑)。ちなみに、同じ箇所に書かれている“阿亀町”は“アーカム”でしょう。
- 「第5話 水中からの挑戦」
- グロブスターの定義が“海岸に漂着する正体不明の生物”である以上、その正体が明らかにならないままで終わるのは必然かもしれません。“十日恵比寿”の真相はおぞましいものですが、田中啓文の作品であればこれくらいは。
- 「第6話 闇に光る目」
- 野見宿禰{のみのすくね}に非時香菓{ときじくのかくのみ}という大胆な伏線には脱帽です。そして“秘密の粉”と大書された袋には思わず爆笑。柳生新陰流への強引なつなぎ方には参りました。
ちなみに、“国咎罪神社”の名前をひっくり返すと“みつかとにく”、すなわち“ミスカトニック大学”のダジャレです。“根暗蚤本”は当然“ネクロノミコン”。
- 「第7話 クラーケン」
- 個人的には、クラーケンはやはりイカ/タコのイメージなので、少々違和感はあります。が、竜宮の真相はよくできています。
- 「最終話 史上最大の侵略」
- “山野千太郎(ヤマノ・チタロオ)”のアナグラムにはやられました。そして、傍若無人な馬子の姿がスサノオに重なる瞬間のカタルシスは強烈です。
2005.03.06 / 03.07読了 |
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