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吾輩はシャーロック・ホームズである/柳 広司 |
2005年発表 小学館ミステリー21(小学館) |
毒殺事件については、甲虫を伏せた椿の花という風流な手がかりが面白いと思います。しかもそれが二通り(ナツメの解決とホームズの解決)に解釈できるところは非常によくできています。ただし、犯人が降霊会の最中に自由に動くためのトリックは陳腐ですし、ステッキという隠し場所もありがちなものに思えてしまうのが残念です。犯人の正体は……正直、その直前のナツメの“告発”があまりに衝撃的だったので(もちろん、キャスリーンをかばうための偽の推理だということはわかりましたが)、さほどのインパクトはありませんでした。 ワトスン博士が“コナン・ドイル卿”と糾弾される場面(193頁)には驚かされました。“ナツメ=ホームズ”という虚構と現実の重ね合わせに、“ワトスン=ドイル”というもう一つの重ね合わせが加わって混沌とした状態になるのかと思ったのですが……果たしてどこからが阿片による幻覚だったのか。 2005.12.12読了 |
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