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ウルフ連続殺人/W.L.デアンドリアThe Werewolf Murders/W.L.DeAndrea |
1992年発表 斎藤健一訳 ミステリ・ペイパーバックス(福武書店) |
この作品では、訳者あとがきにも書かれているように、ベイネデイッティ教授を除く主要な登場人物たちがそれぞれ交代で視点人物となっていますが、当然この中に犯人であるロマネスクも含まれているわけで、その箇所はかなり微妙な書き方がされています。例えば、
ところが、これだけ注意深く書かれているにもかかわらず、不用意に感じられる箇所があります。 おそらく、作者はマルクスをダミーとしたつもりだったのでしょう。作中では、例えば事件の現場にタバコの吸い殻を捨てようとするなど、彼に捜査の経験がないことが示唆されています。ところが、これがあまりにもあからさますぎるため、あまりダミーとして機能していないように思われます。また、彼が視点人物に設定されていない(はず)こともこれに拍車をかけています。このあたりはもったいないとしか言いようがありません。 ただ、犯人指摘の直接の手がかりとなるロマネスクの頬の傷や、ゲッツ博士の死体が聖火台で焼かれなければならなかった理由などはやはり見事です。そしてもう一つ、犯行が満月の夜に限られていた理由が明かされるラストは鮮やかです。その理由も説得力のあるもので、よくできたエンディングといえるでしょう。 2001.04.05読了 |
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