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デッドソルジャーズ・ライヴ/山田正紀

1996年発表 (早川書房)

 この物語はすべて、脳死状態で眠り続ける“44”、“29”、“26”という三人の臨死体験であり、またそれがバイタル・マシン・システムに転送されたものであると考えられます。いわゆる“夢オチ”ともいえますが、逆にすべてが現実であるともいえます。物語は眠り続ける三人の脳内で確実につむぎ出され、しかも相互に影響を与え合っているわけで、このあたりは巧妙です。

 しかしラストに至って、三人の脳死患者やバイタル・マシン・システムも含めたすべてが、一人の人間の臨死体験にほかならないということが示唆されています。この、すべてをひっくり返すかのようなラストは、非常によくできていると思います。繰り返される臨死体験の悪夢から逃れ、最後にようやく“個人的な死”を迎えることができる患者の姿が印象的です。

2000.10.10再読了