殺人契約/山田正紀
1984年発表 光文社文庫 や6-1(光文社)
一部の作品のみ。
- 「殺し屋」
- ラストで貴志が苦悩していますが、結局は問題の女性を殺さなかったのではないでしょうか。なぜなら、次の「逃亡」が、翌日の明け方、貴志が自分のマンションに戻ってきたところから始まっているからです。ラストでは貴志の指が震えているので、そのまま殺しに行くことができたとは考えられません。そして、警察の張りこみは早朝からではなく、少なくとも深夜から開始されたと考えるべきでしょう。したがって、貴志に女性を殺す機会はなかったのではないかと思われます。
- 「共喰い」
- 貴志は及川の死を確認していません。これこそ“契約違反”では?
- 「待機」
- 標的である生田もまた、殺されるために待機していたという真相は、怖さを感じさせるものです。