花間集
�C平樂

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　韋莊
　　　　　　　　　　　　　　　

野花芳草， 寂寞關山道。 柳吐金絲鶯語早， 惆悵香閨暗老。 羅帶悔結同心， 獨凭朱欄思深。 夢覺半床斜月， 小窗風觸鳴琴。

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　　　　　　�C平樂
　　　　　　　　　　　

野花　芳草，
寂寞たる　　關山の　道。
柳は　金絲を　吐き　　鶯語は　早く，
惆悵たり　　香閨に　暗かに　老ゆるを。


羅帶に　　同心を　結べるを　悔み，
獨り　　朱欄に凭れば　　思ひ　深し。
夢より　覺むれば　　半床に　斜月，
小窗より　風　觸りて　　琴を　鳴らす。

****************** ◎私感訳注： ※清平楽：詞牌の一。詞の形式名。双調。四十六字。換韻。詳しくは「構成について」を参照。この作品は『花間集』第二にある。独りになってしまった女性の嘆きを詠う。 ※野花芳草：野花芳草：春の野原の草花。（春の）野の花とかぐわしい（花）草。　＊大地に春が巡ってきたことをいう。 ※寂寞關山道：ふるさとへの山道は、もの寂しい。　＊（大地には、春が巡ってきたものの、）また一年、歳が流れて行き、わたしは無駄に年老いてゆくので寂しく感じられる。　・寂寞：寂しげである。　・關山：郷里に入る境をめぐる山。ふるさと。 ※柳吐金絲鶯語早：ヤナギが黄金色の新芽を出し、ウグイスが春を告げる（時期）が（ますます）早くなった（かのように感じる）。時間の流れが一層早いように感じられるようになったことをいう。　・柳吐金絲：ヤナギが黄金色の新芽を出す。　・鶯語早：ウグイスが春を告げる（時期）が早くなった（かのように感じる）。 ※惆悵香閨暗老：（男性が去っていって）女性だけの部屋で、（時の流れのままに）ひそかに老いてゆくのが、うらめしい。　・惆悵：うらめしい。うらみがましい。　・香閨：女性の部屋。　・暗老：密かに老いてゆく。 ※羅帶悔結同心：羅帶を同心結にして、永遠の愛を誓ったことが悔やまれる。　＊男の薄情を恨んでいる。　・羅帶：うすぎぬの帯。　・悔：くやまれる。　・結同心：永遠の愛を誓って、結び模様をする。現在では、二つのハート形にしている。 ※獨凭朱欄思深：独りだけで、（窓の）朱色の欄干にもたれかかり、（遠くを見やって）深く思いを巡らす。　・獨：独りだけで。　・凭朱欄：（窓の）朱色の欄干にもたれかかり、（遠くを見やる）。　＊物思いに耽ることを表現する。　・思深：深く思いを巡らす。 ※夢覺半床斜月：夢から目覚めてみれば、ベッドの半ばまで（窓から沈みかかって）斜めになった（位置に来た）月光が射し込んでいる。 ＊月は離れている人を偲ぶことを暗示するものでもある。　・夢覺：夢から目覚める。　・半床：ベッドの半ば。　・斜月：（窓から沈みかかった）斜めの（位置に来た）月光が射し込む。 ※小窗風觸鳴琴：小さな窓から風が入ってきて、琴に触れて鳴らした。　・小窗：（女性のいる部屋の）小さな窓。　・鳴琴：琴を鳴らす。 ◎　構成について 　　双調。四十六字。換韻。韻式は「ａａａａ　ＢＢＢ」。 韻脚は「草道早老」「心深琴」で詞韻第八部上声十九皓等と第十三部平声十二侵。 　　　○●（仄韻）， 　　　●○○●（仄韻）。 　　　●○○●●（仄韻）。 　　　●○●●（仄韻）。 　　　○●○○（平韻）。 　　　○●○○（平韻）。 　　　●○●， 　　　○●○○（平韻）。

２００３．１１．３０

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