huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye


李清照詞


  武陵春
            
風住塵香花已盡,
日晩倦梳頭。
物是人非事事休,
欲語涙先流。


聞説雙溪春尚好,
也擬泛輕舟。
只恐雙溪舴艋舟,
載不動,
許多愁。


    **********************



      武陵春

風 住
(や)み  塵 香りて  花 已(すで)に盡(つ)き,
日 晩
(たか)くして  倦みながら 頭を梳(す)く。
物は 是なるも 人は 非にして  事事 休し,
語らんと欲して  涙 先に流る。


聞説
(きくなら)く 雙溪(さうけい)  春 尚(な)ほ好く,
(ま)た擬して(*参照↓)  輕舟を泛ばす と。
只だ 恐る  雙溪の舴艋
(こぶね)舟,
載せて 動かせず,
許多
(あまた)の 愁ひ。


             ******************

私感訳注:

武陵春:詞牌の一。ここでは本義(本意)。武陵とは戦乱を逃れて来た人々が移り住んだ所。転じて、そのような難を避けた別世界の代名詞。陶淵明の『桃花源記』の「武陵桃源」にくわしく出てくる。この作品は、李清照が前夫と死別した後、次の夫とも離婚した後の心の揺れ動いていた時期の作品という。また、当時の宋も北方の金と抗争しており、ここでは、煩わしい俗世間から、そして、戦乱から、「難を避けた別天地の春」という本来の詞牌の意味が生きている。これを本意(本義)という。形式については、下欄「◎構成について」を参照。なお、第一線から退いたという感情表現は同、陶淵明の『歸去來兮辭』からの方が大きいだろう。

※風住塵香花已盡:風が止み、塵に香りが移っており、花はすでに散ってしまった。 ・風住:(白話)風がやむ。 ・塵香:塵に香りが移ったこと、花が散ったこと。今まで吹いていた風で花が散ってしまったことを表している。 ・花已盡:花 すでに 尽き。花の第一義は勿論咲く花のことだが、その他に、女性の容貌や華麗な、すばらしい日々等、幅広い。ここではそれら全てを含む。死別した金石学者の前夫・趙明誠との懐かしい日々、若くて美しかった自分、それらは風(苦難)で散り尽きてしまった、という意味になる。

※日晩倦梳頭:日が高くなってから櫛をといての(身繕いは)物憂いことだ。 ・日晩:日が昇ってから時間が経って。日 高くして。ここは、日が暮れて、ではない。 ・晩:晩⇔早。「早」という時期ではもはや、ないこと。 ・倦:うむ。作者が現在置かれている状況から、この表現になる。愛しい人に見せる必要も無くなったので、身繕いも遅くなってきた。勿論、哀しみを紛らわせるための酒量も増えてきた(李清照の一連の詞作から推量してのことだが…)。生き甲斐の喪失感が伺える。 ・梳頭:あたまをすく。くしけずる。女性の朝の身繕いの一表現。

※物是人非事事休:自然界は変わることがなくても、人の世には変化があり、すべてが終わった。 *この句からの「物是人非事事休,欲語涙先流」は意味の外に、「Wùshì rénfēi shìshì xiū, Yùyǔ lèi xiānliú」と、語調にも独特の感じがあり、口をついて出るところ。 ・物是人非:「物是」と「人非」は対になっており、物(風物、自然、天)は、そのままであり(「是(ぜ、し)」)、人(人間)はそのようではない(「非(ひ)」)、つまり変化があった。自然の風物はいつまでも、変化が無く、本来あるようにあるが、人の身は同じではない、変化があった。「物」は「是(ぜ、し)」であるが、「人」は「非(ひ)」である。これは陶潛の『歸去來兮辭』「歸去來兮,田園將蕪胡不歸。既自以心爲形役,奚惆悵而獨悲。悟已往之不諫,知來者之可追。實迷途其未遠,覺
。」から来ている。その証拠に、このわずか二十句ほど後で、李淸照の号である「易安」が出てくる。「倚南窗以寄傲,審容膝之易安。」である。彼女は、『歸去來兮辭』に深く感ずるところがあったのだろう。『歸去來兮辭』とこの作品との共通の語彙は、「風、日、倦、(物)是(人)非、休、春、輕舟、溪」と多い。南唐後主・李煜の『浣溪沙』に「轉燭飄蓬一夢歸,欲尋陳跡悵人非,天敎心願與身違。待月池臺空逝水,蔭花樓閣漫斜暉,登臨不惜更沾衣。」 とある。これらと似た感じの詩句に劉希夷の『白頭吟』「年年歳歳花相似,歳歳年年人不同。」(「年年 歳歳  花 相ひ似たれども,歳歳 年年  人 同じからず。」)=(花は毎年同じように咲くが、人は、毎年変わっていく。)というのをはじめ、極めて多くある。「…是…非」は、漢語表現の一形式で、「口是心非」…などまま見受ける。 ・事事休:万事休す。萬事休矣。全ては終わってしまった。『歸去來兮辭』では「已矣乎」と表現されている。 ・事事:事ごとに。どの事にも。どの事柄も、どの事柄も。何事にも。万事。唐・杜甫の『江村』に「淸江一曲抱村流,長夏江村事事。自去自來梁上燕,相親相近水中鴎。老妻畫紙爲棊局,稚子敲針作釣鈎。多病所須唯藥物,微躯此外更何求。」とある。 ・休:やめる。おわる。柳永の『八聲甘州』「對蕭蕭暮雨灑江天,一番洗清秋。漸霜風淒緊,關河冷落,殘照當樓。是處紅衰翠減苒苒物華。惟有長江水,無語東流。不忍登高臨遠,望故鄕渺,歸思難收。嘆年來蹤跡,何事苦淹留。想佳人粧樓望,誤幾回天際識歸舟。爭知我,倚闌幹處,正恁凝愁。」とある。

※欲語涙先流:話そうとすれば、(言葉よりも)涙が先に出てくる。北宋・范仲淹の『御街行』に「紛紛墜葉飄香砌。夜寂靜,寒聲碎。真珠簾卷玉樓空,天淡銀河垂地。年年今夜,月華如練,長是人千里。   愁腸已斷無由醉。酒未到,
先成涙。殘燈明滅枕頭欹,諳盡孤眠滋味。都來此事,眉間心上,無計相迴避。」とある。

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※聞説雙溪春尚好:聞くところでは、双渓の春は、なかなか好いという。 ・聞説:きくならく。聞くところでは。伝聞表現。=「聞道」。なお、現代口語では“聴説”という。 ・雙溪:地名。現・浙江省金華市双渓口村。金華の南(杭州の南南西100キロメートルのところ)にある。東陽江と永康渓(現・武義江)の流れが合流するところなので、双渓といわれた。(或いはそこより北100キロメートルの臨安、紫渓の近くか)宋代より現代までの名勝地。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)59-60ページ「南宋 両浙西路 両浙東路 江南東路」にはない。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期にもない。金華、婺州がある。

※也擬泛輕舟:小舟を浮かべて舟遊びでもしたいものだが。 ・也:(白話)もまた。古語の「亦」に近い。文末に来る語気助詞としての用法「也(なり)」の意味は、全然ない。 ・擬:(白話)予定する。したいと思う。(詞語)…つもりである。上記の詞では漢字を尊重して「擬(ぎ)して」と読んではいるものの、ここは現代語の意味で「船遊びがしたいが…」になる。 ・泛:うかべる。 ・輕舟:軽くて速い舟。後出、唐・張志和『浣溪沙』 の脱俗の漁父を暗示する語でもある。唐・李白にも『早發白帝城』「朝辭白帝彩雲間,千里江陵一日還。兩岸猿聲啼不住,
輕舟已過萬重山。」がある。

※只恐雙溪舴艋舟:ただ恐いのは、双渓(前出・地名)の小舟は。 ・只恐:ただ おそれるのは。 ・舴艋:〔さくもう;ze2meng3●●〕小舟。(イナゴ)のような形をした小舟。唐・張志和の『浣溪沙』に「釣臺漁父褐爲裘,兩兩三三
舴艋。能縱棹,慣乘流,長江白浪不曾憂。」とある。

※載不動:載せると動かない。載(はこ)べない。載せると動かせない。載せきれない。このような否定の形式は、やりおおせない、不可能であることを表す。例えば、現代口語で、“帯不動”と言えば、「(荷物が重くて、または大きくて)持ち運べない」という意味になる。(こんな言い方は少しおかしいが、その反対に)“不帯~”と言えば、「身に携えないで~、持たないで~」ということになる。李煜の「烏夜啼」「無言獨上西樓,月如鈎。寂寞梧桐深院 鎖淸秋。   
剪不斷,理還亂,是離愁。」や李清照『雙調憶王孫』「湖上風來波浩渺,秋已暮、紅稀香少。水光山色與人親,説不盡、無窮好。」の表現と同じ。

※許多愁:とても多くの悲しみ(のために)。 ・許多:(白話)あまたの。たくさんの。 ・愁:李清照の愁いのあまりの多さに舟も動かせなくなるだろうという、そんな深い、重い愁い。





◎ 構成について
双調。四十九字。平韻。一韻到底。韻式は「AAA AAA」
宋詞緒では最後の三字句二つを合わせて一句にしている。

○○●●,
●●○○(韻)。
●○○●●○(韻)。
●●○○(韻)。


○○●●,
●●○○(韻)。
●○○●●○(韻)。
●●●,
●○○(韻)。

韻脚:「頭休流舟舟愁」で、第十二部平声。
2000. 5.23
      5.25
      5.27
      5.28完
      5.29補
2001. 4.13
2002. 1. 5
2003. 3.27
      4.28
      5.20
2005.11.23
2007. 6. 7
      8.11
2011. 2.22
2012. 6.18



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