Xin Qiji ci

 

     

      蝶戀花
漢詩 蝶恋花

遙夜亭皋閑信
乍過淸明,
早覺傷春暮。
數點雨聲風約住。
朦朧淡月雲來去。


桃李依依春暗度。
誰在秋千,
笑裏低低語

一片芳心千萬緒,
人間沒個安排處




******

蝶戀花
             
遙けき夜 亭皋に  閑(そぞろ)に歩を信(まか)す。
(たちま)ち 過ぐ  淸明を,
早や覺ゆ  春の暮れるを 傷む。
數點の 雨聲  風 約し住
(とど)む。
朦朧たる 淡月  雲 來去す。


桃李 依依として  春は暗
(ひそ)かに 度(すぎ)ゆく。
誰ぞ  秋千に 在りて,
笑裏に  低低と 語らふは?
一片の 芳心  千萬の緒,
人間
(じんかん) 個(ひとつ)も 沒(な)し  安排の處!

                **********

私感注釈

※蝶恋花:詞牌の一。詳しくは下記「◎構成について」を参照。

※遥夜亭皋閑信歩:夜長に、ぶらぶらと散歩をすれば。 ・遙夜:長い夜。夜なが。 ・亭皋:(ていかう;ting2gao1)水辺の亭、建亭物。亭:壁のない小さな建物。あずまや。皋:岸辺の高地。 ・閑信歩:漫ろに足を運ぶ。そぞろに歩をまかす。ぶらぶらと散歩をする。 ・信歩:散歩をする。毛沢東の水調歌頭に「勝似閒庭信歩」とある。同じ意味で使っている。

※乍過淸明:清明節が終わったばかりだが。 ・乍過:…が終わったとたん。 ・乍:(白話)…したばかり。…したとたん。纔過とするのもある。 ・纔:(白話)いましがた。やっと。ようやく。 ・淸明:清明節。清明節は、二十四気の一で春分から数えて十五日目(冬至から数えて百五日目)から三日間。先祖のお墓参りなどをする。 新暦の四月四~六日ごろ。

※早覚傷春暮:早くも、春が暮れ、過ぎ去っていこうとするのを傷(いた)むのを感じる。 ・早覺:早くも…と感じる。(今しがた晴明節を迎え、春になった喜びを味わったかと思えば、)もう早くも、(惜春の時期にさしかかっている)のに気づいた。 ・傷春暮:春が暮れ、過ぎ去っていこうとするのを傷む意。

※数点雨声風約住:ぱらぱらと、僅かの雨音は、風がおし止めてしまっている。 ・數點雨聲:ぱらぱらと、僅かの雨音。 ・風約住:風がおし止めてしまっている。 ・約:詞語。押しとどめる。籠める。くくる。住:(白話)動詞の後について結果補語となり、停止、沮止を表す。

※朦朧淡月雲来去:ぼんやりとした淡い月影に、雲が流れて行き。 ・朦朧淡月:ぼんやりとした淡い月影。 ・雲來去:雲が動いていく。雲來去は○○●で、雲去來は○●○になる。また去は韻脚でもあり、動かせない。 ・來去:動きをいう。

※桃李依依春暗度:桃やスモモはしなやかで弱々しげであり、春はひそかに過ぎ行く。 ・桃李:桃やスモモ。女性の容色やいろいろな比喩、用法がある。女性を暗示した春の情景。 ・依依:(古語古白話)名残惜しく離れがたいさま。枝のしなやかなさま。弱々しげなさま。(白話)慕い思う。恋々とする。表面の意味は、桃李が過ぎ行く春に未練を残していることをいう。 ・春暗度:春はひそかに過ぎ行く。香暗度とするのもある。その場合は、(桃李の)香りがひそやかにたちこめ、満ちてくる、になる。春暗度でも「春」は気節の「はる」を指すだけでなく、多義に亘っているので、もっと深みある取り方の方がよいかもしれない。その方が上片と下片をしっかりつなげることができる。

※誰在秋千:だれかがブランコで…。 ¥秋千:ブランコ。=鞦韆。漢の武帝の後宮に始まった、長寿を祝う遊び。ゆえ、千秋といった。千秋万歳の意。後、女子の遊びとなった。特に春の寒食の頃によくした。このような伝統のため、今残っているブランコの絵も美しい女性が、木の枝から垂らしたブランコに乗っているものばかりで、非常に艶めかしい。秋千の語には女性の嬌態が宿されている。ゆめ、児童公園で、ブランコをこいでいる男の子らを連想してはいけない!?

※笑裏低低語:笑い声に混じって、ひそやかに語らう。 ・笑裏:笑い声に。笑い声に混じって。 ・裏:なか。内。 ・低低語:ひそやかに語らう。

※一片芳心千万緒:胸一杯の少女の多くの思い。  ・一片:(白話)満腔の。胸一杯の。「一片□心」という具合に、「心」に掛かっていき、誠意、熱心等の心の態様を表す常套句。ここでは、「ひとかけら、少し」という意味はない。 ・芳心:少女の心。 ・千萬緒:多くの思い。

※人間没個安排処:この世は、落ち着くところは ひとつも(どこにも)ない。 ・人間:人の世。この世。じんかん。 ・沒個:(白話)「没有一個」のことで、「…は ひとつもない」。「没有一個」→「没(有)一個」→「没(有一)個」→「没個」。 ・「没有」:文語の無。 ・「没」:文語の無。 ・「一」:ひとつ。 ・「個」:一個、一枚、一回など数えるときに使う量詞(助数詞)。 ・安排(白話):処置する。手配する。按配する。都合をつける。







◎ 構成について
  
 双調。 六十字。 (鵲踏枝、一ともいう) 仄韻の一韻到底。 韻式は「aaaa aaaa」。韻脚「歩暮住去 度語緒處」は第四部去声。ただし、「緒」は上声字。「語處」は両韻でここでは、「語」は上声の方、「處」は去声の方。 

   
○○●●(仄韻),
   
●○○+●○○●(仄韻)。
   
○○●●(仄韻),
   
●●○●(仄韻)。


   
○○●●(仄韻),
   
●○○+●○○●(仄韻)。
   
○○●●(仄韻),
   
●○○●(仄韻)。

***********************
2001.5.4
     5.5
     5.6
     5.7完
     5.8補
2002.1.13
2018.2. 8
     2.12

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