官倉鼠
曹
官倉老鼠大如牛,
見人開倉亦不走。
健兒無糧百姓飢,
誰遣朝朝入君口。
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。
官倉の鼠
官倉の老鼠 大なること 牛の如く,
人に 倉を開かるるも 亦 走
(に)
げず。
健兒 糧
(かて)
無く 百姓
(ひゃくせい)
飢ゑ,
誰をして 朝朝 君が口に 入らしむる。
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◎ 私感訳註:
※官倉鼠:『詩經』「碩鼠」
に基づいている。国の倉庫にいるネズミ。貪官をいう。
※官倉老鼠大如牛:お国のくらの中にすみついているネズミはその大きいことといったら、牛ほどもあって。 *「大如牛」を「大如斗」ともする。後者の方が押韻上は、正しいが、前者の方が詩としてはおもおしろい。 ・官倉:官のくら。国のくら。 ・老鼠:ネズミ。また、老いたネズミ。「老」は、接頭辞で特に現代では特段の意味はない。なお蛇足になるが、現代語では、トラ、ネズミを“老鼠”、“老虎”などとする。 ・斗:ます。とます(十升を量るもの)。
※見人開倉亦不走:人に見つかっても逃げようとしない。 ・見:…(ら)れる。受け身を表す。それとともに、本来の動詞の、見られる、みかける、見受ける、の意も残っている。 ・亦:…もまた。 ・走:にげる。
※健兒無糧百姓飢:兵士には食糧がなく、人民は、飢えに苦しみ。 ・健兒:若者。兵士。 ・無糧:食糧がない。 ・百姓:人民。
※誰遣朝朝入君口:いったい誰が、いつも毎朝、あなたの口に入るようにしてやっているのか。 ・遣:…させる。使役を表す。それとともに、本来の動詞の、やる、使わす、の意も残っている。 ・朝朝:毎朝。 ・君:ここでは官倉鼠を指す。
◎ 構成について
韻式は「(A)aa」。韻脚は上声「(牛)走口」。「牛」は平声なので、填詞のような声調を超えた通韻。「斗」の場合では合って、平水韻上声二十五有(走口)。この作品の平仄は次の通り。
○○●●●○○,(?韻)
●○○○●●●。(韻)
●○○○●●○,
○●○○○●●。(韻)
2003.6. 1
6. 2完
2008.5.20補
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