楚辞 九歌 礼魂
禮魂
『楚辭』九歌
成禮兮會鼓,
傳芭兮代舞。
姱女倡兮容與。
春蘭兮秋菊,
長無絶兮終古。
**********************
。
禮魂
禮を 成して 鼓を 會し,
芭を 傳へて 代はるがはる 舞ふ。
姱女 倡ひて 容與たり。
春蘭と 秋菊と,
長へに 絶ゆること 無く 終古ならん。
******************
◎ 私感訳註:
※禮魂:『楚辭』の「九歌」の最後を飾る。楚の国のために犠牲となった将士をを悼む多くの儀式の歌集『九歌』中、魂を送り返す最終の儀式用といわれる。宗教的、民俗的な色合いが濃く、短いものの難しい詩である。
※成禮兮會鼓:(一連の)祭礼の儀式が成就、完成して終わり、一斉に太鼓を打ち鳴らす。 ・成禮:祭礼が完成する。祭礼の儀式が終了する。 ・會鼓:一斉に太鼓を打つ。或いは、乱打する。
※傳芭兮代舞:花を送り伝えて、交替して、代わって舞い踊る。同一空間、同一時刻の出来事とすれば、(祭礼の)花を横にいる人物に、リレー式に順次手渡していき、(祭礼の)踊りを順次、交替していって舞う。また、後出の「春蘭兮秋菊,長無絶兮終古。」をふまえて考えれば、(春蘭、秋菊という毎年季節ごとに咲く)花を(供え、毎年春秋の供養することを世々代々に亘って)伝えていき、(先祖を祀ることを世々)代々に亘って続け、(慰霊の)舞いを絶やすことなく踊り続ける、ということになる。 ・傳芭:花を送り伝える。 ・芭:花。「芭」≒「
」。 ・兮:語調を整える辞。ここでは、「而」「……(し)て、」という感じ。 ・代舞:交替して、代わって舞い踊る。「傳」「代」は「つたえていく」だが、どの意味で取るのが一番相応しいか。
※姱女倡兮容與:巫女は主導して(祭礼の式の歌を)歌って、ゆったりとかまえている。 ・姱女:巫女。みこ。 ・倡:主導して(祭礼の式の歌を)歌う。わざをぎをする。みちびく(倡)。盛んである(昌)。乱れる。狂う。となえる(唱)。ここでは、「倡」≒「唱」。 ・容與:ゆったりとしているようす。
※春蘭兮秋菊:春蘭と秋菊。毎年季節ごとに決まって咲く花。春には(春)蘭を供え、秋には(秋)菊を供え、(絶やすことなく)。 ・春蘭:春の蘭。 ・秋菊:秋の菊。
※長無絶兮終古:いつまでも(祖先の祭りを)絶やすことなく永久に。 ・長:いつまでも。とこしえに。とこしなへ。 ・無絶:絶やすことなく。 ・終古:いつまでも。永久に。昔。
◎ 構成について
韻式は、「aaaa」。韻脚は「鼓舞與古」。遥か後世の平水韻でいえば、上声七
になる。この作品の平仄は次の通り。
○●○●●,(韻)
○○○●●。(韻)
○●●○○●。(韻)
○○○○●,
○○●○○●。(韻)
「□□兮□□
」が基本の形になっている。
2003.7.11
7.15完
2004.3. 7補
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