漢詩
聯語
題動石夫人廟
如斯巾幗女兒,
有志復仇能動石;
多少鬚眉男子?
無人倡議敢排金!
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聯語
動石夫人廟に 題す
斯くの如き 巾幗の 女兒,
志 有りて 仇を復するに 能く 石を動かし;
多少の 鬚眉の 男子
人 の倡議して 敢て 金を排する 無き!
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◎私感注釈
※聯語:対句。越郡の天姥山に動石夫人廟があるが、これは、宋末に金軍が南下してここまで来たとき、夫人が霊威を顕して、山上より巨石を次々に転がり落として、数多の金軍兵士をおし潰して、そこを通過させなかったと云うことである。この聯語はそれに則っている。
※題動石夫人廟:越郡の天姥山にある宋代の抗金の遺蹟。
※如斯:。かくのごとく。故事のように。
※巾幗:夫人の頭巾、被り物。転じて「女性の…」という時に使われる。「巾幗の英雄」という風に。
※女兒:女子。
※有志:(革命等大事の)志を持つ。(大事を遂げる)意志がある。日本語の意味とは異なっているので、注意。
※復仇:あだを討つ。
※能動石:よく石を動かす。山上より巨石を次々に転がり落とした奇蹟の伝承を指す。ここでは、奇跡を起こせる、という意味に使っている。
※有志復仇能動石:あだを討つ志を持っていれば、岩をも動かす奇蹟を生み出すことができる。ここは素直に読めば「復仇を志す有れば能く石を動かす。」となり、意味も通りやすいが、詩としての味わいに缺ける。
※多少:どれほど。多くの。
※鬚眉:(あご)ひげとまゆ。転じて男。一人前の男。前出の「巾幗」に対応する語。
※男子:男。
※無人:…(をいう)ような人がいない。「有志」と「無人」は対応しているが、読み下すときに、対に出来なかった。
※倡議:提倡して議すること。問題とすること。
※敢:あえて。勇気を出して。無理をしてでも。
※排金:宋代末期に北方に起こった女真族の国家・金国を排除する。宋代の漢民族の悲願。
ここは、秋瑾にとっての悲願である満洲民族(女真)王朝・清朝=後金を覆滅することも言外にある。
※無人倡議敢排金:金を排除しようと提議する勇気ある人物はいない。ここも素直に読めば「人の倡議して敢て金を排する無し。」となる。
◎ 構成について
仄起平収になっており、正格。対句も見事にできている。平仄は以下の通りで、美しく仕上げている。
如斯
巾幗
女兒
,
有志
復仇
能
動石
;
○○○●●○,●●●○○●●;
多少
鬚眉
男子
,
無人
倡議
敢
排金
!(倡:動詞は
●
)
○●○○○●,○○●●●○○。
2001. 2.26
2.27完
2002.11.16補
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