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              唐 杜牧
七絶
               
贈別
二首
其一

娉娉嫋嫋十三餘,
荳蔻梢頭二月初。
春風十里揚州路,
卷上珠簾總不如。


******

(べつ)に贈る
                       
娉娉
(へいへい) 嫋嫋たる  十三餘,
荳蔻 梢頭  二月の初
(はじめ)
春風 十里  揚州の路,
珠簾を 卷き上ぐれど   總じて 如
(し)かず。

       

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◎ 私感註釈

※贈別:旅立つとき、詩文をはなむけとして贈ること。別(べつ)に贈る。この作品は、杜牧が揚州を旅立つとき、馴染みで好きだった妓女に贈ったもの。彼女が十三歳のときに別れたのなら、恐らく張好好のことになろう。

※娉娉嫋嫋十三余:麗しくたおやかな十三歳過ぎ(の)。 ・娉娉:〔へいへい;ping1ping1○○〕女性の容姿が美しいさま。 ・嫋嫋:〔でうでう;niao3niao3●●〕しなやかなさま。か細く弱々しいさま。 ・十三餘:十三、四歳。杜牧が愛した妓女の年齢である。

※荳蔻梢頭二月初:荳蔻(のような少女)は、枝の尖は(まだ蕾も固い)二月の初旬の様子である。 ・荳蔻:〔とうこう;dou4kou4●●〕ビャクズク。白蔻。多年生常緑草本。初夏に薄い黄色の花を著け、秋に実をつける。生薬の名でもある。なお、豆蔻は、現代語では、“
豆蔻年华(=豆蔻年華)”といって十三、四歳のローティーンの少女を指すが、その元となったのは、この作品のこの句である。李C照の頁にも書いた蛇足だが、現在、“豆蔻系列”と銘打ったピンク色の可愛い表紙の少女小説叢書が出版されている。十三、四歳から、広くティーンエージャーを対象にした叢書である。 ・荳:豆。 ・梢頭:枝の尖。 ・二月初:荳?がまだ固いつぼみの時期である二月の初め。まだ成熟しきっていない少女のことも指している。

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※春風十里揚州路:春風が、十里ほどあるここ揚州路に(訪れて吹いているが)。 ・十里:揚州の町の規模をいう。 ・揚州路:揚州一帯。揚州に杜牧の愛する年若い妓女がいた。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)54ページ「唐 淮南道」にある。

※巻上珠簾総不如:(揚州の町の全ての女性の部屋の)玉スダレを巻き上げて(美しさを比べてみても)総じて、どれも(貴女には)及びもしない。 ・卷上:巻き上げる。(揚州の町の全ての女性の部屋の玉スダレを)巻き上げて(美しさを比べてみても)と謂うこと。 ・珠簾:玉スダレ。美しい。ここでは、女性の部屋の窓の装飾として使われている。 ・總:どれも。総じて。 ・不如:(…に)及ばない。

               ***********





◎ 構成について

七絶仄起。韻式は「AAA」。韻脚は「餘初如」で、平水韻上平六魚。以下の平仄は、この作品のもの。

○○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)

2002. 7. 9
      7.10完
2010.10.12補
2011. 2.17   

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