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萬國尚戎馬,
故園今若何。
昔歸相識少,
早已戰場多。
復た愁ふ
萬國 尚(な)ほ 戎馬(じゅうば),
故園 今 若何(いかん)。
昔 歸りしとき 相識 少(まれ)に,
蚤(はや)く已(すで)に 戰場 多かりき。
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◎ 私感註釈
※杜甫:盛唐の詩人。杜甫は、時々ことばの遊びをするが…。何如。
※復愁:『復愁十二首』の中の第三首。
※萬國尚戎馬:諸国は、なおも戦乱状態であり。 *「萬國尚防寇」ともする。 ・萬國:諸国。各地。各国。ここでの「萬國」は、日本語の「万国」(世界のあらゆる国。地球上のすべての国家)とは意味合いが異なり、中華の天下での諸国であり、中華各地の国々の意で使われている。『歳晏行』「萬國城頭吹畫角,此曲哀怨何時終。」に同じ。 ・尚:なお。なおも。 ・戎馬:〔じゅうば;rong2ma3○●〕兵馬。軍馬。戦馬。転じて、軍事。戦闘。戦乱。戦争。 ・防寇:(敵の)侵攻を防ぐ。
※故園今若何:故郷は、今、どんなであろうか。 ・故園:故郷。ふるさとの田舎。「故園」や後出「郷」等、ふるさとの地を指すことばのイメージが、日本語のそれよりも大きいことになっていることに注意すべきである。 ・若何:どうしよう。なんとせん。いかん。≒如何。ここは「何如」の意である、どんなであるか。いかが、になる。
※昔歸相識少:以前に帰郷した時(でさえ、)顔見知りは、稀であって。 ・昔歸:以前に帰郷した時。 ・相識:〔さうしき;xiang1shi2○●〕顔見知り。知人。互いに知り合っている人。 ・少:すくない。稀な。減った。
※蚤已戰場多:(その時から)はやくもすでに、戦場となっているところが多かったが。 ・蚤已:はやすでに。「蚤已」〔さうい;zao3yi3●●〕を「早已」〔さうい;zao3yi3●●〕ともする。意味・発音は同じ。 ・蚤:はやい。はやく。=早。 ・已:とっくに。すでに。
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◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「何多」で、平水韻下平五歌。次の平仄はこの作品のもの。
●●●○●,
●○○●○。(韻)
●○○●●,
●●●○○。(韻)
2005.2.6 |
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