懶搖白註,
裸袒林中。
脱巾挂石壁,
露頂灑松風。
******
夏日 山中
白羽扇を 搖(うご)かすに 懶(ものう)く,
裸袒(らたん)す 林の中。
巾を脱して 石壁に挂(か)け,
頂(いただき)を露(あらは)顕して 松風を灑(そそ)ぐ。
◎ 私感註釈 *****************
※李白:701年(嗣聖十八年)〜762年(寶應元年)。盛唐の詩人。字は太白。自ら青蓮居士と号する。世に詩仙と称される。西域・隴西の成紀の人で、四川で育つ。若くして諸国を漫遊し、後に出仕して、翰林供奉となるが高力士の讒言に遭い、退けられる安史の乱では苦労をし、後、永王が謀亂を起こしたのに際し、幕僚となっていたため、罪を得て夜郎にながされたが、やがて赦された。
※夏日山中:夏の日に山の中(で過ごす)。
※懶搖白註:白い羽の団扇で扇ぐのもおっくうで。 ・懶:〔らん;lan3●〕ものうい。面倒くさい。たいぎである。面倒である。怠る。「嬾」〔らん;lan3●〕ともする。同音同義。 ・搖:〔えう;yao2○〕揺り動かす。ゆらす。 ・白註:白い羽の団扇。諸葛亮が司馬懿と戦ったときに使った軍扇。ここは、前者の意。孟郊の『塘下行』「塘邊日欲斜,年少早還家。徒將白羽扇,調妾木蘭花。不是城頭樹,那棲來去鴉。」南朝梁・簡文帝『賦得白註』は前者の意。後者の意で使われているのは陸游詩での場合。
※裸袒青林中:青々と木の茂った森林の中で、肩肌脱ぎになる。 ・裸袒:〔らたん;luo3tan3●●〕左の方の肩を脱ぐ。また、諸(もろ)肌脱ぎになる。左右両方の肩を着物から脱いで、上半身を現す。蛇足になるが、右の方の肩を脱ぐのは謝罪を表す。 ・袒:かたぬぐ。はだぬぐ。 ・青林:青々と木の茂った森林。蛇足になるが、「緑林」という場合は「緑林山」の盗賊、の意もある。
※脱巾挂石壁:頭巾を脱いで、岩の壁面にひっかけて。 ・脱巾:頭巾を脱ぐ。 ・巾:〔きん;jin1○〕ずきん。 ・挂:〔くゎい;gua4●〕ひっかける。掛ける。 ・石壁:岩の壁面。
※露頂灑松風:かんむりをつけないで頭を丸出しにして、松の木を吹き抜ける風にさらした。 ・露頂:かんむりをつけないで頭を丸出しにする。 ・灑:〔さい(しゃ;)sa3●〕そそぐ。 ・松風:松の木を吹き抜ける風。
◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「中風」で、平水韻上平一東。平仄はこの作品のもの。
●○●●●,
●●○○○。(韻)
●○●●●,
●●●○○。(韻)
2006.8.11 8.12 |
次の詩へ 前の詩へ 抒情詩選メニューへ ************ 詩詞概説 唐詩格律 之一 宋詞格律 詞牌・詞譜 詞韻 唐詩格律 之一 詩韻 詩詞用語解説 詩詞引用原文解説 詩詞民族呼称集 天安門革命詩抄 秋瑾詩詞 碧血の詩編 李U詞 辛棄疾詞 李C照詞 陶淵明集 花間集 婉約詞:香残詞 毛澤東詩詞 碇豐長自作詩詞 漢訳和歌 参考文献(詩詞格律) 参考文献(宋詞) 本ホームページの構成・他 |
メール |
トップ |