爾靈山(にれいさん)下 啾啾(しうしう)たる風,
詩伯の將軍 還(な)ほ 忠を 盡くす。
西楚 覇王 面目を 知り,
泰然 敢(あ)へて 江東に 過(わた)らず。
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(長久手事件の詩)
指揮判断能力不足の指揮官のため、二百三高地で亡くなった護国の英霊を悼み、西楚覇王・項羽は「江東の父兄に会わせる顔がない。わたしは恥ということを知っている」と言って、逃げることを拒み、討ち死にしたことに思いを致した。なお、詩伯将軍は責任を感じ、皇恩に謝して殉死した。
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・爾靈山: |
二百三高地。海抜203mの高地の「203」を「にれいさん」と訓み、「爾霊山」と漢字を充てたと云う。「爾(なんぢ)の靈(れい)の山」である。 |
・啾啾: |
小声で力なくものがなしく泣くさま。陣歿した護国の鬼(き)の泣き声でもある。杜甫の『兵車行』「君不見青海頭,古來白骨無人收。新鬼煩冤舊鬼哭,天陰雨濕聲啾啾。」 、 |
・西楚覇王: |
項羽。「於是項王乃欲東渡烏江。烏江亭長 船待,謂項王曰:『江東雖小,地方千里,衆數十萬人,亦足王也。願大王急渡。今獨臣有船,漢軍至,無以渡。』項王笑曰:『天之亡我,我何渡爲!且籍與江東子弟八千人渡江而西,今無一人還,縦江東父兄憐而王(「王」字は動詞)我,我何面目見之?縦彼不言,籍(項籍=項羽のこと)獨不愧於心乎?』」 |
・泰然…: |
正確には「泰然として…」「泰然たり」と読むべきところ。 |