雪屋灯客枕孤, 眼中了了見歸途。 山間兒女應相問, 十月初旬得到無? |
客意
雪屋 灯 くして 客枕 孤なり,
眼中 了了として 歸途を見る。
山間 兒女 應に相ひ問ふべし,
十月 初旬 到るを得んこと 無からんや?
******************
◎ 私感訳註:
※元好問:金の文学者。字は裕之。号して遺山。1190年〜1257年。北魏の拓跋氏の家系。なお、当時の金は、満洲、華北、華中をおさえていた。
※客意:旅先での思い。旅情。 *旅先の宿屋で、故郷の家族の様子を思ったうた。
※雪屋灯客枕孤:雪の積もった家のともしびは青々として(寒々しく)、旅先のひとり寝は、ひとりぼっちで寂しい。 ・雪屋:雪の積もった家。 ・灯:ともしびが青い。 ・客枕:旅行中の就寝。旅のやどり。 ・孤:ひとりぼっちである。
※眼中了了見歸途:(心の)目の中には、はっきりと明らかに故郷や自宅への道筋が見えている。 ・眼中:目のなか。ここでは、心の目の中。 ・了了:明らかなさま。また、ついに。ここは、前者の意。 ・見:見える。 ・歸途:故郷や自宅への道筋。
※山間兒女應相問:山あいの息子と娘は、きっと(次のように)尋ねてくることだろう。 ・山間:山あい。 ・兒女:息子と娘。 ・應:きっと…だろう。 ・相:…てくる。…ていく。動作の及ぶ方向を表す。あい。 ・問:尋ねる。
※十月初旬得到無:(こどもたちは、次のように訊ねることだろう)「冬の初めの旧暦の十月初旬には、帰ってこられるでしょうか。駄目でしょうか」と。 ・十月初旬:冬の初め。旧暦の十月一日から冬の季節。 ・得到:帰ってこられる。 ・無:…だろうか。文末の「無」は疑問を表す。「十月初旬得到無」は「(十月初旬)得到?無得到?」「十月初旬得到否?」この文型は現代語の疑問表現にまで続く。
◎ 構成について
2007.12.23 |