Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




                                              
      醉留東野 

                 韓愈

昔年因讀李白杜甫詩,
長恨二人不相從。
吾與東野生並世,
如何復躡二子蹤。
東野不得官,
白首誇龍鍾。
韓子稍姦黠,
自慚青蒿倚長松。
低頭拜東野,
願得終始如蛩。
東野不迴頭,
有如寸撞鉅鐘。
我願身爲雲,
東野變爲龍。
四方上下逐東野,
雖有離別無由逢。


******

醉留東野
                       
昔年  李白 杜甫の詩を 讀むことに 因(よ)りて,
長く恨む 二人  相ひ從はざりしことを。
吾と東野とは  並世に 生まる,
如何
(いかん)ぞ 復(また)  二子の蹤(あと)を躡(ふ)む。
東野は  官を得ずして,
白首  龍鍾
(りょうしょう)を誇る。
韓子は  稍
(や)姦黠(かんかつ)
自ら慚
(は)づ 青蒿(せいかう)  長松(ちゃうそう)に倚る。
低頭して  東野を拜し,
願はくは 終始  
(きょきょう)の如くあるを得ん。
東野は  頭
(かうべ)を迴らさず,
(すんてい)  鉅鐘(きょしょう)を撞(つ)くが 如(ごと)く有るに。
我 願はくは  身は 雲と爲り,
東野は  變じて龍と爲らん。
四方 上下
(しゃうか)  東野を逐(お)ひ,
離別 有りと雖
(いへど)も  逢ふに由(よし)無し。

*****************


◎ 私感註釈

※韓愈:中唐の文人、政治家。768年(大暦三年)〜824年(長慶四年)。洛陽の西北西100キロメートルの河陽(現・河南省孟県)の人。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)44−45ページ「唐 都畿道 河南道」。字は退之。諡は文公。四六駢儷文を批判し、古文復興を倡えた。仏舎利が宮中に迎えられることに対して韓愈は、『論仏骨表』を帝(憲宗)に奉ったが、却って帝の逆鱗に触れ、潮州刺史に左遷された。その時の詩。唐宋八大家の一人。

※醉留東野:孟郊を酔っぱらって(別れて帰っていくのを)引き留める。酔いとともに留別する。 *長短句(填詞)のようでめずらしい詩形式なので、楽府・古詩系統なのか、填詞系統なのかを確かめたくて採りあげた。前者。平仄や表現方法、内容は従来の古い伝統を引き継いだものだった。詩の内容は「如何復躡二子蹤」からいって送別の詩だ。ただ、孟郊(孟東野)にとってはあまり愉快ともいえない内容。詩の内容ひと言で言えば「わたしたちは仲良しだ。しっかり出世しなされよ、応援しているから。もう会う機会はなかろうが…」。官位の違いから、このことは仕方がなかろうが…。 ・醉留:酔っぱらって引き留める。留別の意。 ・東野:孟郊の字。孟郊は中唐の詩人。湖州武康(現・浙江省湖州)の人。不遇な一生を送った。751年(天寶十年)〜814年(元和九年)。諡は貞曜先生。

※昔年因讀李白杜甫詩:むかし、李白や杜甫の詩を読んだが、そのことで。 ・昔年:むかし。 ・因:…のために。…が(原因)のために。…に因(よ)って。また、因(よ)る。起因する。ここは、前者の意がよりふさわしかろう。 ・李白杜甫詩:李白と杜甫は、盛唐の同世代人でありながら、交友できたのは、一年に満たず、その後別離を強いられたことをいう。

※長恨二人不相從:(李白・杜甫の)二人が一緒になれなかったをいつも残念に思っている。 ・長恨:いつも残念に思ってる。 ・長:いつも。ずっと。≒常。 ・二人:ふたり。ここでは、李白、杜甫のことになる。 ・相從:(いっしょ)に寄り添う。 ・從:したがう。附き添う。
※吾與東野生並世:わたしと孟郊とは同世代だが。 ・吾:わたし。ここでは、作者・韓愈のことになる。 ・與:…と。 ・並世:同世代に肩を並べる。

※如何復躡二子蹤:どうしてまた(李白、杜甫の)二人の跡を踏むのだろうか。 *わたしたち(韓愈・孟郊)も、李白・杜甫の場合と同様に、離れて一緒になれないのだろうか。 ・如何:どうして。 ・復:また。 ・躡:〔でふ;nie4●〕ふむ。(足を)ふみつける。追う。追いかける。(くつを)はく。 ・二子:ふたりの人。ふたりの男子。ここでは、李白、杜甫のことになる。 ・蹤:〔しょう;zong1○〕あと。あしあと。行為のあと。物事のあとかた。

※東野不得官:孟郊(孟東野)君は官職を得ることが無く。 ・不得官:官職に就けない。

※白首誇龍鍾:しらが頭で、年老いて疲れていても平然としている(が)。 ・白首:しらがあたま。 ・龍鍾:〔りょうしょう;long1zhong1○○〕年老いてつかれて病むさま。失意のさま。行きなやむさま。

※韓子稍姦黠:(わたし)韓愈は、ややずるくて悪賢いので。 ・韓子:韓愈。 ・稍:〔せう;shao1○〕やや。 ・姦黠:〔かんかつ;jian1xia2○●〕ずるくて悪賢い。

※自慚青蒿倚長松:おはずかしいことだが、(頼りない)青いヨモギ(のようなわたし)は、大きな松の木に寄りかかっている。 ・自:みずから。 ・慚:〔ざん;can2○〕面目なく思う。面目が無くはずかしい。はじる。自動詞。軽く用いる。 ・青蒿:〔せいかう;qing1hao1○◎〕青いヨモギ。青いわら。作者自身のことを指す。 ・倚:〔い;yi3●〕寄りかかる。たのむ。すがる。 ・長松:大きな松の樹。

※低頭拜東野:孟郊君に頭を下げて拝してお願いしたい。 ・低頭:頭を下げて。 ・拜:拝してお願いしたい。

※願得終始如蛩:願いが叶うならば、ずっといつまでも(仲良しである)「」と「蛩蛩」との二種の獣のように(ありたいものだ)。 ・願得:願いが叶う。 ・終始:ずっといつまでも。 ・蛩:〔きょきょう;ju?qiong2?○〕「『』と『蛩蛩』」との二獣のことで、常に寄り添っている動物といわれる。『淮南子・道應訓』に「北方有獸,其名曰,鼠前而兔後,趨則頓,走則顛,當爲蛩蛩取甘草以與之,有患害,蛩蛩必負而走。」、『呂氏春秋・慎大覽』「北方有獸,名曰蹶,鼠前而兔後,趨則,走則顛,常爲蛩蛩距虚取甘草以與之。蹶有患害也,蛩蛩距虚必負而走。此以其所能託其所不能。」。『山海經』のもありそうな気がして調べているが、今のところ見つからない。(蛇足になるが、代わりに見つかったのが『山海經』第十八に「流沙之東K水之阯L山,名不死之山」という一節があったが、これは我が国の「富士山」ではなかろうか。その前の部分に「取子曰阿女生帝。」という部分、『野馬臺詩』の始め部分にも似ているが…。)

※東野不迴頭:孟郊君は…には、見向きもしない。 ・迴頭:ふり返る。

※有如寸撞鉅鐘:たとえば、小さな竹の小枝で大きな釣り鐘をつくようなことには。 *身の程知らずなことはしない、無意味なことはしない、という意味か。 ・有如:(譬えば)…のような。 ・寸:〔すんてい;cun4ting2●○〕小さな竹の小枝。 ・:〔てい;ting2○〕竹の小枝。ひくだ。機糸をまく管。 ・撞:〔たう(しゅ);zhuang4○声調、発音共に多彩。再考を要する語〕(鐘を)つく。 ・鉅鐘:〔きょしょう;ju4zhong1●○〕巨大な釣り鐘。 ・鉅:〔きょ;ju4●〕大きな。=巨。はがね。ここは、前者の意。

※我願身爲雲:わたしはできることならば、我が身を雲として(変身させ)。 ・身:作者・韓愈の身体。 ・爲雲:雲となる。龍は雲を得てはじめて天に昇ることができる。

※東野變爲龍:孟郊君は大物の竜と変じ(させ)よう。 ・變爲:…となる。 ・龍:池の中の物から天を駆け巡る瑞獣。孟郊(孟東野)に対して斯くなるようにと願っているということ。

※四方上下逐東野:全国各地から、上下の各階層から孟郊くんは追いかけまわされ(るだろう) *孟郊くん、あなたも追いかけ回されて、忙しくなろう。 ・四方:全国各地。 ・上下:身分の高い階層や下級階層から。 ・逐:追いかける。

※雖有離別無由逢:(これでは)別れるということはあっても、なかなか出逢ことができないわけだ。 ・雖有:…であるとはいっても。 ・離別:別離。別れる。 ・無由逢:出逢うわけがない。 ・無由:よしなし。 ・由:理由。わけ。 ・逢:(偶然に)出逢う。

               ***********




◎ 構成について

韻式は、「AAAAAAAA」。韻脚は「從蹤鍾松蛩鐘龍逢」で、平水韻。次の平仄はこの作品のもの。

●○○●●●●●○,
○●●○●○○。(韻)
○○○●○●●,
○○●●●●○。(韻)
○●●●○,
●●○○○。(韻)
○●○○●,
●○○○●○○。(韻)
●○●○●,
●●○●○?○。(韻)
○●●○○,
●○●○○●○。(韻)
○●○○○,
○●●○○。(韻)
●○●●●○●,
○●○●○○○。(韻)

2007.7. 7
     7.10
     7.11

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