Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



念奴嬌

    崑崙
一九三五年十月



橫空出世,
莽崑崙,
閲盡人間春色。
飛起玉龍三百萬,
攪得周天寒徹。
夏日消溶,
江河橫溢,
人或爲魚鼈。
千秋功罪,
誰人曾與評説?



而今我謂崑崙:
不要這高,
不要這多雪。
安得倚天抽寶劍,
把汝裁爲三截?
一截遺歐,
一截贈美,
一截還東國。
太平世界,
環球同此涼熱。





                    ******

          念奴嬌  崑崙(こんろん)

空に橫たはり  世に出づ,
莽たる 崑崙,
閲し盡くす  人間の春色を。
飛び起つ 玉龍  三百萬,
周天を攪し得て   寒 徹す。
夏日に 消溶し,
江河に 橫溢すれば,
人 或いは  魚鼈と爲らん。
千秋の功罪,
誰人か 曾て 評説を與えたる?



而今 我 崑崙を謂うに:
這くの高ひを 要せず,
這くの多き雪を 要せず。
安んぞ天に倚りて 寶劍を抽くを得て,
汝を 三截に截たんや?
一截は  歐に遺はし,
一截は  美に贈り,
一截は  東國に還す。
太平 世界,
環球 此の涼熱を 同じうせん。

                *****************

◎ 私感註釈

※念奴嬌:双調。壱百字。『念奴嬌』は、『江月』、『大江東去』ともいう。韻式は「aaaa aaaa」。一般に入声韻を使用。

※崑崙:〔こんろん;Kun1lun2○○〕崑崙山。クンルン山。実際は岷山〔びんざん;Min2shan1○○〕。毛沢東が紅軍を率いての長征の途次、岷山を登ったが、その岷山を崑崙として詞題とした。(岷山は崑崙山の支脈)。毛沢東は「詞の主題である『崑崙の雪』とは、中国に覆(おお)い被(かぶ)さる帝国主義を謂う」旨、自注で述べている。崑崙山:〔こんろん-ざん;Kun1lun2-shan1○○-○〕のこと。青海省の西に実在する大山脈。中華の根元としての霊山。神話に基づく山の名でもあり、西方の奥深い山々の彼方にある楽土で、西王母が住み、瑶池がある。周の穆王も、斉天大聖(孫悟空)も来たとされるところ。黄河の発するところともされている。これらから発して、中華の源、根元という意味が生まれた。南宋・張元幹の『賀新郞』送胡邦衡待制赴新州に「夢繞神州路。悵秋風、連營畫角,故宮離黍。底事
崑崙傾砥柱,九地黄流亂注。聚萬落、千村狐兔。天意從來高難問,況人情、老易悲難訴。更南浦,送君去。涼生岸柳催殘暑。   耿斜河、疏星淡月,斷雲微度。萬里江山知何處,囘首對牀夜語。雁不到、書成誰與?目盡靑天懷今古,肯兒曹、恩怨相爾汝。舉大白,聽、金縷。」とある。

※一九三五年十月:紅軍は、国民党政府軍の数次に亘る攻撃によって、根拠地を放棄して長征に出た。長征中の1935年1月、貴州省の遵義で、周恩来を最高軍事指導者とする新指導部が発足した。毛沢東は、周恩来の補佐役となった。しかし間もなく、毛沢東は周恩来から実権を奪っていき、周恩来に代わって軍事上の最高指導者の地位に就いた。この後、紅軍の長征は岷山を越えていった。その頃の詞。毛沢東の行く手を遮るかのような岷山は、崑崙山の支脈である西南部の高い山脈でもあり、ここでは岷山を崑崙として詠った。この作品と同時期(一九三五年十月)の作『七律 長征』に「紅軍不怕遠征難,萬水千山只等閒。五嶺逶迤騰細浪,烏蒙磅礴走泥丸。金沙水拍雲崖暖,大渡橋橫鐵索寒。更喜
岷山千里雪,三軍過後盡開顏。」とある。

※横空出世:空を突き抜けて雲の上に出る。 ・横空:天空を横切る。また、天空に立ち籠める。ここは、前者の意。初唐・虞世南の『侍宴応詔賦得前字』に「芬芳禁林晩,容與桂舟前。
橫空一鳥度,照水百花然。綠野明斜日,青山澹晩煙。濫陪終宴賞,握管類窺天。」とあり、明・史謹の『蜀中道中』に「盤盤鳥道接峨嵋,劍閣橫空北斗低。羈思不堪過夜半,萬山深處一猿啼。」とある。 ・出世:世の中に現れる。世の中に出る。(空を突き抜けて雲の)上に出る。山が非常に高いさまを謂う。俗世間を離れる。

※莽崑崙:草深くて広い崑崙山よ。 ・莽:〔ばう;mang3●〕草深いさま。広い。

※閲尽人間春色:人の世の春の景色(≒栄枯盛衰)を見尽くした(ことだろう)。 ・閲尽:見尽くす意。 ・人間:〔じんかん;ren2jian1○○〕人の世。世間。中唐・白居易の『大林寺桃花』に「
人間四月芳菲盡,山寺桃花始盛開。長恨春歸無覓處,不知轉入此中來。」とあり、晩唐・皮日休の『牡丹』に「落盡殘紅始吐芳,佳名喚作百花王。競誇天下無雙艷,獨占人間第一香。」とある。 ・春色:春のけしき。喜悦の表情。

※飛起玉竜三百万:三百万の玉竜を飛び起たせ。(=飛び交う雪)。 *原註に「前人所謂“戰罷玉龍三百萬,敗鱗殘甲滿天飛”,説的是飛雪。這裏借用一句,説的是雪山。夏日登岷山遠望,群山飛舞,一片皆白。老百姓説,當年孫行者過此,都是火焰山,就是他借了芭蕉扇搧滅了火,所以變白了。」とある。 ・玉竜:玉を刻んで龍の形にしたもの。剣を謂う。雪の積もった枝を謂う。

※攪得周天寒徹:満天をかき乱したので、寒さがしみとおっている。 ・攪:かき乱す。かき混ぜる。 ・-得:…たので。…たため。結果・程度を表す補語を導く。 ・周天:満天の意。 ・寒徹:寒さがしみとおる意。

※夏日消溶:(その雪も)夏の太陽で解けてなくなり。 ・夏日:夏の太陽。 ・消溶:解けてなくなる。解ける。

※江河橫溢:河川が溢(あふ)れ出て。 ・江河:長江と黄河。また、河川。 ・橫溢:あふれ出る。

※人或為魚鼈:人は(水害のために流され、死んで)あるいは魚類やスッポン(の腹中に収められて、魚鼈)となってしまった(かもしれない)。 ・或為:あるいは…となる。 ・魚鼈:〔ぎょべつ;yu2bie1○●〕魚類とスッポン。転じて魚類をいう。 ・鼈:〔べつ;bie1●〕スッポン。

※千秋功罪:(崑崙山の)長い年月での功労と罪過(について)。 ・千秋:千年。長い年月。千載。 ・功罪:功労と罪過。てがらとあやまち。

※誰人曽与評説:(崑崙山について)誰かがかつて(その)評論に参加したことがあろうか。(誰もしてこなかったようだ)。 ・誰人:何人(なんぴと)。だれ。 ・曽:かつて…したことがある。 ・与:参加する。あずかる。 ・評説:評論。批評を加えながら説明すること。評判。うわさ。

※而今我謂崑崙:(かつては誰も言わなかったが、)今日、わたしは崑崙について言おう。 ・而今:現今。今日。目下。ただいま。 ・謂:告げる。話す。言う。

※不要這高:こんなに高くは必要としない(し)。 ・不要:いらない。必要としない。また、…してはいけない(禁止の意)。ここは、前者の意。 ・這:こんなに。そんなに。また、この。その。指示代詞。ここは、前者の意。

※不要這多雪:こんなに多くの雪(も)必要としない。

※安得倚天抽宝剣:どうしたら、天によって長い宝剣を得られようか。 ・安得:どうしたら得られよう。どこに求められよう。どうして…だろうか。いずくにか…を得ん。いずくんぞ…なるを得んや。漢・高祖(劉邦)の『大風歌』に「大風起兮雲飛揚。威加海内兮歸故鄕。
安得猛士兮守四方!」とあり、漢・武帝の『落葉哀蝉曲』に「羅袂兮無聲,玉墀兮塵生。虚房冷而寂寞,落葉依于重扃。望彼美之女兮,安得感余心之未寧。」とあり、北朝・民歌の『挽舟者歌』に「我兄征遼東,餓死靑山下。今我挽龍舟,又困隋堤道。方今天下饑,路糧無些少。前去三十程,此身安可保。寒骨枕荒沙,幽魂泣煙草。悲損閨内妻,望斷吾家老。安得義男兒,憫此無主屍。引其孤魂回,負其白骨歸。」とあり、中唐・韓愈の『忽忽』に「忽忽乎余未知生之爲樂也,願脱去而無因。安得長翮大翼如雲生我身。乘風振奮出六合,絶浮塵。死生哀樂兩相棄,是非得失付閒人。」とある。 ・安-:どうして。いずくんぞ。反語。 ・倚天:天によって…。宋玉の『大言賦』「方地爲車,圓天爲蓋,長劍耿耿倚天外。」による。南宋・辛棄疾の『水龍吟・過南劍雙溪樓』に「擧頭西北浮雲,倚天萬里須長劍。人言此地,夜深長見,斗牛光焔。我覺山高,潭空水冷,月明星淡。待燃犀下看,凭欄却怕,風雷怒,魚龍慘。   峽束滄江對起,過危樓、欲飛還斂。元龍老矣,不妨高臥,冰壺涼簟。千古興亡,百年悲笑,一時登覽。問何人又卸,片帆沙岸,繋斜陽纜。」とある。 ・倚天剣:長剣。盛唐・李白の『雜歌謠辭 臨江王節士歌』に「洞庭白波木葉稀,燕鴻始入呉雲飛。呉雲寒,燕鴻苦。 風號沙宿瀟湘浦,節士感秋涙如雨。白日當天心,照之可以事明主。 壯士憤,雄風生。安得倚天劍,跨海斬長鯨。」とある。 ・抽:抜き出す。引き出す。引っ張り出す。

※把汝裁為三截:(その宝剣で)おまえ(=崑崙山)を三つに断ち切ろう。 ・把:…を。…を(…する)。介詞。文言文の(〔「將」+名詞〕の)「將」や「以」に似た働きをする。〔「
」+名詞+動詞〕の表現で、名詞に処置を加える(=「(名詞)を…する(/してしまう)」)働きを持つ。 ・汝:おまえ。なんぢ。 ・裁為-:…に裁断する。…に裁(た)つ。 ・三截:三(み)切れ。 截:〔せつ;jie2●〕断つ。断ち切る。切る。切断する。

※一截遺欧:一切れは、ヨーロッパに贈って。 ・遺:〔ゆゐ;wei4●〕贈る。*蛇足になるが、〔ゐ;yi2○〕は:のこす、意。 ・欧:欧洲。ヨーロッパ。

※一截贈美:一切れは、アメリカに贈って。 ・美:アメリカ。
利堅合衆国(アリカ合衆国)。メリケン。

※一截還東国:一切れは、東の国(=日本)に還(かえ)そう。 ・還:かえす。かえる。また、戻す。復する。 ・東国:東の方の国。日本を指す。*この部分、初めは「留中國」となっていたのを「還東國」と改めたもの。そのことについて、毛沢東の自注に「一截留中國,改爲
一截還東國。忘記了日本人是不對的。這樣英、美、日都渉及了。別的解釋不合實際。」(「『一切れは中国に留める』のを、『一切れは東の国に還(かえ)す』と改める。日本人を忘れてしまっては、正しくない。このように、イギリス・アメリカ・日本のすべてにふれたのだ。別の解釈では、実際のことに合致していない。」)となっている。

※太平世界:(かくて、)平和な世界では。 ・太平世界:平和な世界。大同世界。共産主義社会。

※環球同此涼熱:地球(=全世界)がこの寒暑を共に(≒平等に)するのだ。 ・環球:地球。全世界。=寰球。  ・同:同じくする。 ・此:この。 ・涼熱:寒さと暑さ。あつささむさ。寒暑。冷暖。





◎ 構成について


◎ 念奴嬌 (江月、大江東去ともいう)
           壱百字 (双調) 韻式は「aaaa aaaa」。一般に入声韻を使用。韻式は「aaaa aaaa」。一般に入声韻を使用。韻脚は「」で、第。

   
○○●,
   ●●、○○●。(入声韻)
   ○○●●,
   ●○○●。(入声韻)
   ●○○,
   ●,
   ●○○●。(入声韻)
   ○○●,
   ○○●○●。(入声韻)


   ●○○,
   ○○●,
   ●○○●(入声韻)。
   ○○●●,
   ○○●。(入声韻)
   ●○○,
   ●,
   ●○○●。(入声韻)
   ○○●,
   ○○●○●。(入声韻)

  
    

2015.10.13
     10.14
     10.15
     10.16
     10.17
     10.18
2017. 1.13
      1.19




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