huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
 
挽舟者歌

                        北朝・民歌


我兄征遼東,
餓死靑山下。
今我挽龍舟,
又困隋堤道。
方今天下饑,
路糧無些少。
前去三十程,
此身安可保。
寒骨枕荒沙,
幽魂泣煙草。
悲損閨内妻,
望斷吾家老。
安得義男兒,
憫此無主屍。
引其孤魂回,
負其白骨歸。






*******************
               舟をく者の歌

我が兄  遼東れうとうき,
餓死す  青山の(もと)
今 我  龍舟りょうしうき,
くるしむ  隋堤ずゐていの道。
方今はうこん  天下 ゑ,
路糧 ろ りゃう  些少させうも無し。
前去ぜんきょ  三十のてい
の身  いづくんぞ 保つけんや。
寒骨かんこつ  荒沙くゎう さ まくらし,
幽魂いうこん  煙草えんさうに泣く。
悲しみつかるる  けい内の妻,
望みはたる  吾が家の老。
いづくんぞ 得んや  義男兒 ぎ だん じ の,
の無主のかばねを あはれみて,
孤魂 こ こんを引きて かへり,
の白骨をひて 歸るを。

             ******************

◎ 私感訳註:

※挽舟者歌我:舟を曳く者の歌。隋・煬帝の龍舟は数百人の舟を曳く者によって曳かれたという。詩中、「我」(わたし)は舟を曳く労役をし、やがて、飢えで死んでいく。遺骸は雑草の生う川原に打ち棄てられ、霊魂となって彷徨い、故郷に連れて帰ってもらえる機会を待っている、という意の民歌であり、帰葬詩の一でもある。北朝のものか?隋のものか?または、それ以降なのか。 ・挽:〔ばん;wan3●〕ひっぱる。ひく。 ・挽舟:(隋・煬帝(ようだい)、またそれ以前の南北朝時代に開鑿された運河を運行する舟をひっぱる。 *煬帝は、歴史上批判を受けることが多いが、煬帝の功績を見抜いて称えた詩に晩唐・皮日休に『汴河懷古』「盡道隋亡爲此河,至今千里賴通波。若無水殿龍舟事,共禹論功不較多。」と評価をしたものがある。

※我兄征遼東:兄は遼東へ出征し。 *この聯「我兄征遼東,餓死青山下」は韻を踏んでいないので、本来は詩の本篇ではなかったのか。或いは、後から入ったものか。 ・征:(遠くに)ゆく。伐(う)つ。攻めて懲(こ)らす。 ・遼東:〔れうとう;Liao2dong1○○〕遼河の東一帯。秦代に置かれた郡の名。また、現・遼寧省瀋陽。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)19-20ページ「隋 時期 遼西諸郡 室韋靺鞨等部」にある。 ・征遼東:隋・煬帝の高句驪征討の際に出征したことを指す。

※餓死青山下:青山(せいざん)のもとで餓死した。 *この句「餓死於青山下」の意。この聯までが一解。 ・青山:青々と樹木が生い茂ってしている山。青峰。骨を埋める地。墳墓の地。 ・下:ふもと。もと。

※今我挽龍舟:今、わたしは龍舟を引っ張って。 ・龍舟:天子の乗る舟。舳先に龍の飾りがある舟。隋・煬帝が乗った龍舟は、数百人によって曳かれたという高さ・13メートル、長さ・60メートルで、4層になっており、120の部屋があったという。

※又困隋堤道:またしても、(兄のように)苦しみなやんでいる。 ・又:またしても。また。 ・困:苦しむ。なやむ。また、こまる。ここは、前者の意。 ・隋堤:煬帝によって開鑿された運河で、天津~黄河と淮水~長江~杭州が結ばれたその川の土手。大運河とは、隋の大業元年(605年)に開鑿された中国の南北に通す運河で、南方(江南)の杭州・長江から華中の淮河流域、さらには江南の北方(華北)の黄河流域の都市に運ぶ南北交通の大動脈と謂えるものである。中国の河は、黄河、淮河、長江と西から東へと流れており、南北に水運のための運河を造ることは極めて重要なことであった。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)5-6ページ「隋 河南諸郡」にある。中唐・李益は『汴河曲』で「汴河水東流無限春,隋家宮闕已成塵。行人莫上長堤望,風起楊花愁殺人。」と汴河を詠う。中心といえる部分は、黄河と淮河を結ぶ運河部分の通済渠(通濟渠=汴河(べんが)唐代では広済渠(廣濟渠)。宋代では汴河。唐代では広済渠(廣濟渠)。宋代では汴河。なお、「隋堤」を「隨堤」とすれば、「つつみにそって」の意。

※方今天下饑:当今、世の中は、飢えていて。 ・方今:ただいま。当今。 ・天下:天の下。国全体。世界。世の中。 ・饑:飢える。飢餓である。

※路糧無些少:旅路の携行食糧はちょっとしたものも無い。 ・路糧:旅路の携行食糧。 ・些少:すこしばかりの。ちょっとした。 ・些小:些細である。少量である。

※前去三十程:このさき、三十里の道程に。 ・前去:このさき。まえ。前方へ向かうこと。また、行く。出向く。ここは、前者の意で「-去」は動詞「さる」の意ではなく、「以来」「後來」「従来」の「來」と同様な用法(「…このかた」)で、「去」は「このさき」「まえ」といった感じになろうか。 ・三十程:三十里の道程。

※此身安可保:この(我が)身をどうして保っていくことができようか。 ・安可:どうして…されようか。どうして…できようか。反語。

※寒骨枕荒沙:寒々とした(わたしの)遺骨(なきがら=亡骸)は、雑草の茂った川原の砂を枕(まくら)にして(横たわって)。 ・寒骨:寒々とした遺骨。 ・枕:まくらにする。動詞。 ・荒沙:雑草の茂った川原。

※幽魂泣煙草:死者の魂(たましい)は、霞(かすみ)につつまれた草原で涙を流して泣いている。 ・幽魂:〔いうこん;you1hun2○○〕死者の魂(たましい)。幽鬼。幽霊。 ・泣:涙を流して泣く。 ・煙草:〔えんさう;yan1cao3○●〕霞(かすみ)につつまれた草原。

※悲損閨内妻:悲しみ疲れた(婦人の部屋にいる、わたしの)妻。 ・損:よわる。つかれる。 ・閨:〔けい;gui1○〕婦人の部屋。

※望斷吾家老:望みが絶たれた我が一族の老人たちは、(以下の詩の内容(=誰か、彷徨っているたましいと、野ざらしになっている遺骨を持って帰って欲しいものだ)と思った)。 *ここまでの解が「わたし」に関して。 ・望斷:望みが絶たれた。また、見えなくなるまで、見送る。ここは、「吾家老望斷」のことで、前者の意。 ・吾家老:我が一族の老人たち。父、母、祖父、祖母…といった一家(一族)の老人たち。

※安得義男兒:義侠心に溢れた男(で、孤魂を弔い、遺骨を回収してくれる人物)をどこかで手に入れられて。 *ここから最後まで、打ち棄てられた骸を見ての思いの解。 ・安得:どこで手に入れられようか。「安得」は「「
安得義男兒,憫此無主屍。引其孤魂回,負其白骨歸〕。」と、後半全てに係っていく。漢・高祖(劉邦)『大風歌』「大風起兮雲飛揚。威加海内兮歸故鄕。安得猛士兮守四方!」 とあり、漢・武帝の『落葉哀蝉曲』に「羅袂兮無聲,玉墀兮塵生。虚房冷而寂寞,落葉依于重扃。望彼美之女兮,安得感余心之未寧。」とある。 ・義男兒:義侠心に溢れた一人前の男。

※憫此無主屍:この(死者を祀る)施主がいないこの屍(しかばね)を憐れんで。(この(死者を祀る)施主がいないこの屍(しかばね)を荼毘に付してもらえ。) ・憫:〔びん;min3●〕あわれむ。うれえる。ここを、「爛」「焚」ともする。「爛」は「やく」。「焚」は「たく」。共に荼毘に付す、火葬の意。(「憫」「爛」「焚」のどれが適正なのか、底本に当たれていないのでわからない。) ・此:「この」の意だが、「憫此無主屍」の句は、実質「憫無主屍」であって、「憫(此)無主屍」としたのは節奏「□□+□□□」(「憫此+無主屍」)とするように揃えたためでもある。語調を整えるために「此」を入れた。 ・無主:死者を祀る施主がいない。 ・屍:〔し;shi1○〕屍体(死体)。しかばね。かばね。

※引其孤魂回:その孤独な魂を手引きして導いてかえり。 *形のない霊魂を故郷の方へ導いてもらうことをいう。 ・引:案内する。手引きして導く。 ・其:「引其孤魂回」は、実質「引孤魂回」であり、節奏の「□□+□□□」(「引其+孤魂回」)として語調を揃えるために「其」を入れた。次の句の「負其白骨歸」も同様。 ・孤魂:ただひとりぼっちの亡魂。後漢末・孔融の『雜詩』に「遠送新行客,歳暮乃來歸。入門望愛子,妻妾向人悲。聞子不可見,日已潛光輝。孤墳在西北,常念君來遲。褰裳上墟丘,但見蒿與薇。白骨歸黄泉,肌體乘塵飛。生時不識父,死後知我誰。
孤魂遊窮暮,飄颻安所依。人生圖孠息,爾死我念追。俛仰内傷心,不覺涙霑衣。人生自有命,但恨生日希。」とある。 ・回:もどる。かえる。

※負其白骨歸:その遺骨を(故郷の墓所まで)持って帰ってもらい(たい、)。 *形として遺(のこ)っている遺骨を故郷の墓所まで持って帰ってもらうことをいう。 ・負:背負(せお)う。引き受ける。 ・歸:帰葬する。本来居るべき場所(自宅・故郷・自分の墓所)へもどる。





◎ 構成について

韻式は「aaaaaBBB」。韻脚は「道少保草老 兒屍歸」で、平水韻でいえば、上声十九皓。上平四支(兒屍)、上平五微(歸)。次の平仄はこの作品のもの。

●○○○○,
●●○○●。

○●●○○,
●●○○●。(a韻)
○○○●○,
●○○○●。(a韻)
○●○○○,
●○○●●。(a韻)
○●●○○,
○○●○●。(a韻)
○●○●○,
◎●○○●。(a韻)
○●●○○,(B韻)
●●○●○。(B韻)
●○○○○,
●○●●○。(B韻)

2010.5.24
     5.25
     5.26
     5.27
     5.28



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