畢竟西湖六月中, 風光不與四時同。 接天蓮葉無窮碧, 映日荷花別樣紅。 |
曉 に淨慈寺を出 で 林子方を送る
畢竟 西湖 は 六月中,
風光四時 と 同じからず。
天に接する蓮葉 は無窮 の碧 にして,
日に映ずる 荷花は別樣 に紅 なり。
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◎ 私感訳註:
※楊万里:南宋の学者、詩人。字は廷秀。号して誠齋。吉水(現・江西省吉水県)の人。1127年(靖康二年/建炎元年)〜1206年(開禧二年)。生涯、抗金に勤めた。南宋の「中興四大詩人」の一。
※暁出浄慈寺送林子方:明け方に浄慈寺を出て、林子方(直閣秘書)を見送る。 ・暁出:明け方出る。 ・浄慈寺:現・浙江省杭州市西湖区の西湖南畔の南屏山の麓にある禅寺。五代に呉越王によって建てた寺。境内からの景観は西湖十景の一つとして、「南屏晩鐘」と呼ばれる。 ・送:見送る。 ・林子方:楊万里の友人名。進士に挙げられ後、直閣秘書に任じられた。作者とともに抗金の志を持った人物。
※畢竟西湖六月中:なんといっても、西湖は(夏の旧暦・)六月の間は。 ・畢竟:結局。つまり。 ・西湖:現・浙江省杭州市中心にある湖。 ・六月中:旧暦六月のあいだ。新暦の7月〜頃で、盛夏。
大きな地図で見る「南屏晩鐘」とある所が淨慈寺。北側は西湖。
※風光不与四時同:風景は、四季(みな)が同じではない。 ・風光:景色。すぐれたおもむき。草木が風に揺られて光ること。 ・与:…と。…に(対して)。介詞。 ・不与:…と…ではない。否定詞は介詞の前に附き、「風光不与四時同」の句では「……不与……同」となる。なお、動詞の前に附いて「……与……不同」(「風光与四時不同」(=風光は四季と異なる))ともなる。ただし、その場合は意味が微妙に異なる。また、節奏(□□・□□+□□□といった区切れ)の上でも制約がある。ここでは、意味の上(=風光は、四季が同じではない/風光は、四季と異なる)でも節奏(=□□・□□+□□□/□□・□・□□・□□(=「風光・与・四時・不同」))上でも、「風光与四時不同」としか表しようがない。南宋・楊萬里自身の『過百家渡』其三に「柳子祠前春已殘,新晴特地却春寒。疎籬不與花爲護,只爲蛛絲作網竿。」とある。 ・四時:(春・夏・秋・冬の)四季。
※接天蓮葉無窮碧:天に連なるハスの葉は、窮(きわ)まりない緑色をしており。 ・蓮葉:ハスの葉。 ・無窮:窮(きわ)まりない。 ・碧:みどり(である)。青緑色。
※映日荷花別様紅:日光に照り映(は)えるハスの花は、ことのほか。赤い。 ・荷花:ハスの花。 ・別様:ことのほか。とりわけ。独特に。 ・紅:赤い。
◎ 構成について
2014.2.28 3. 1 3. 2 3. 3 3. 8 |