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終南望餘雪 | |
唐・祖詠 |
終南陰嶺秀,
積雪浮雲端。
林表明霽色,
城中增暮寒。
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終南 餘雪を望む
終南 陰嶺 秀 で,
積雪雲端 に浮 かぶ。
林表 霽色 を明 らかに,
城中 暮寒 を增 す。
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◎ 私感註釈
※祖詠:(盛)唐の詩人。699年~746年頃。洛陽(現・河南省洛陽)の人。開元十二(三)年(734(735)年)に進士となり、張説に推薦せれて少しの間、駕部員外郎となるが、やがて汝水の畔の汝墳に隠棲し、農耕生活を送った。 詩の多くは田園の山水を描き、その風格は清淡である。王維・儲光羲らと唱和した詩がある。
※終南望餘雪:終南山の残雪を。眺める。 *『全唐詩』註記に「有司試此題,詠賦四句即納,或詰之,曰意盡。」(科挙試験でこの詩題が出されたが、(作者は)この四句を賦してすぐに提出した。ある人(=試験管)が彼に詰問したところ、(答えて)言うには「意を尽くした」だった)。 ・終南:終南山を謂う。 ・望:眺める。望む。 ・餘雪:残雪。ここでは、溶けないで残っている(山頂の)雪のこと。
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※終南陰嶺秀:終南山の北側は、高く抜きん出て。 ・陰嶺:嶺の北側のこと。北側に位置する長安から、南側に位置する終南山を望めば、山の北側(=陰嶺)を見ることになるのに因る。なお、ここを「陰嶺」として、「嶺陰」としないのは、この「終南陰嶺秀」の句は「○○○●●」とすべき句であり、「陰嶺」は○●で、「嶺陰」は●○のため。もし、「嶺北」とすれば、●●となる。すると、句は「○○●●●」となり、避けた方がよい。ここでは、「陰嶺」としてでしか表現できない。蛇足になるが、河では、北側が陽で南側が陰。(中国の河は一般的に西から東に流れるため)。 ・秀:ぬきんでる。高く出る。ひいでる。
※積雪浮雲端:降り積もった雪(の嶺の部分が)雲の最も高い部分(雲頂)に流れている。/降り積もった雪(の嶺の部分が)流れる雲のはし(から見えている)。 ・積雪:(山頂部分に)降り積もった雪。 ・浮雲端:(雲が)流れる。「浮・雲端」を「浮雲・端」ともみることができる。後者の読み下しは「浮雲の端(たん)」となり、意は「浮雲のはし」となる。 ・浮:(雲が)流れる。浮かぶ。 ・雲端:雲の最も高い部分。雲頂。雲外。雲の外。雲表。
※林表明霽色:木々の繁みの外側の面が、雪上がりの晴れわたったおもむきで、明るく照り輝き。 ・林表:木々の繁みの外側の面。 ・明:(雪の反射で)明るくなる。動詞。 ・霽色:〔せいしょく;ji4se4●●〕(雨上がりや雪上がり)の晴れわたったおもむき。
※城中増暮寒:(しかしながら)長安の市街は暮色が迫って、寒さが増してきた。 ・城中:都市の中。ここでは、長安の街のことになる。「城」は城市の意で、中国は城郭都市のため。 ・暮寒:夕ぐれの寒さ。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「端寒」で、平水韻上平十四寒。この作品の平仄は、次の通り。
○○○●●,
●●○○○。(韻)
○●○●●,
○○●●○。(韻)
2011.2.26 2.27完 8. 5補 |
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