嶺上逢久別者又別 | |
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唐・權德輿 |
十年曾一別,
征路此相逢。
馬首向何處,
夕陽千萬峰。
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嶺上 久別 の者に逢 ひて又 た別 る
十年曾 て一 たび別れ,
征路 此 に相 ひ逢 ふ。
馬首 何處 にか向 かふ,
夕陽 千萬 の峰 。
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◎ 私感註釈
※権徳輿:中唐の詩人。字は載之。天水略陽(現・甘肅省秦安)の人。四歳で詩をよくしたという。太常博士、吏部侍郎等に任じられた。
※嶺上逢久別者又別:嶺の上(の峠道)で、久しく別れていた者と出逢い、再び(峠道のあちら側とこちら側に)別れて行った。 ・嶺上:山脈状に並んだみねの上。 ・逢:(偶然に)出逢う。(偶然に)行き逢う。 ・久別:〔きうべつ;jiu3bie2●●〕久しく会わないこと。長い間の別れ。 ・又:更に。再び。またもや。またしても。また。
※十年曾一別:十年前に、以前にひとたび別れたが。 ・曾:かつて(…たことがある)。以前に。 ・一別:ひとたび別れること。別れ。
※征路此相逢:旅の途上、ここで出逢った。 ・征路:旅の道。旅路。=征途。 ・此:ここに。 ・相逢:出逢う。
※馬首向何処:(乗っている)馬の向かう方角はどちらの方か(といえば)。 ・馬首:馬の向かう方角。馬の首。 ・何處:どこ。
※夕陽千万峰:(反対方向の)夕日の中にある多くの(独立した山の)峰(の方に向かってだ)。 ・夕陽:夕日。 ・千萬峰:多くの(独立した山の)峰。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「逢峰」で、平水韻上平二冬。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●,
○●●○○。(韻)
●●●○●,
●○○●○。(韻)
2011.4.30 5. 1 |
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