春思 | |
|
唐・賈至 |
紅粉當壚弱柳垂,
金花臘酒解酴醾。
笙歌日暮能留客,
醉殺長安輕薄兒。
******
春思
紅粉 壚 に當 たりて弱柳 垂れ,
金花 の臘酒 酴醾 を解 く。
笙歌 日 暮れて能 く客 を留 め,
醉殺 す 長安輕薄兒 。
****************
◎ 私感註釈
※賈至:盛唐の詩人。718年(開元六年)〜772年(大暦七年)。字は幼幾。洛陽の人。安史の乱には、玄宗に従つて蜀に避れる。
※春思:春の長閑(のどか)な気持ち。二首あり、その一は「草色青青柳色黄,桃花歴亂李花香。東風不爲吹愁去,春日偏能惹恨長。」。
※紅粉当壚弱柳垂:紅(べに)おしろいで化粧をした(女性が)酒を売り、(その店の)前には若い柳の枝が垂れており。 ・紅粉:べにおしろい。女性の化粧。 ・当壚:酒を売る。 ・壚:〔ろ;lu2○〕酒売り場。酒屋。本来は、酒の甕を置くための台。 ・弱柳:しだれ柳。若い柳。
※金花臘酒解酴醾:黄金色をした金華の旧臘の寒中に醸(かも)した濁り酒の封を開けている。 ・金花:黄金色をした酒の色の形容。 ・臘酒:〔らふしう;la4jiu3●●〕陰暦十二月に醸(かも)す酒。寒中に醸(かも)した酒。 ・酴醾:〔とび;tu2mi2○○〕濁り酒。濁酒(どぶろく)。重ねて(かも)した酒で、その色が酴醾(とび)(蔓性の低木)の花の色に似ている。
※笙歌日暮能留客:(女性の)笙に合わせて歌う歌声は(魅力的で、)日が暮れても、能(よ)く客足を留(とど)めて。 ・笙歌:笙に合わせて歌う歌。 ・日暮:日が暮れる。 ・能:よく。 ・留客:客足を留(とど)める。
※酔殺長安軽薄児:都・長安の軽薄なわかものを酔いつぶしている。 ・酔殺:酔いつぶす。「-殺」は動詞に附け添えて、意味を強める助字。 ・長安:唐の首都。 ・軽薄児:軽薄な人。あさはかで誠意のない人。
***********
◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「垂醾兒」で、平水韻上平四支。この作品の平仄は、次の通り。
○●○○●●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○○●○。(韻)
2011.8.17 |
次の詩へ 前の詩へ 抒情詩選メニューへ ************ 詩詞概説 唐詩格律 之一 宋詞格律 詞牌・詞譜 詞韻 唐詩格律 之一 詩韻 詩詞用語解説 詩詞引用原文解説 詩詞民族呼称集 天安門革命詩抄 秋瑾詩詞 碧血の詩編 李U詞 辛棄疾詞 李C照詞 陶淵明集 花間集 婉約詞:香残詞 毛澤東詩詞 碇豐長自作詩詞 漢訳和歌 参考文献(詩詞格律) 参考文献(宋詞) 本ホームページの構成・他 |