采蓮曲 | |
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唐・王昌齡 |
荷葉羅裙一色裁,
芙蓉向臉兩邊開。
亂入池中看不見,
聞歌始覺有人來。
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采蓮曲
荷葉 羅裙 一色に裁 ち,
芙蓉臉 に向かひて 兩邊 開く。
池中に 亂れ入りて看 て見えず,
歌を聞き 始めて覺 る 人の來 る 有るを。
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◎ 私感註釈
※王昌齢:盛唐期の詩人。700年?(嗣聖年間)〜755年?(天寶年間)。字は少伯。京兆の人。七言絶句に秀で、辺塞詩で有名。
※采蓮曲:ハスを採るうた。楽府旧題。「采蓮」は「採蓮」の意。江南の水郷の風情を詠い、ハスを採ることを生業(なりわい)としている少女を描く。
※荷葉羅裙一色裁:ハスの葉と(少女の)うすぎぬのもすそ(≒スカート)とが同じ色(=緑色)で衣服が仕立てられており。 ・荷葉:ハスの葉。 ・羅裙:〔らくん;luo2qun2○○〕うすぎぬのもすそ。絹のスカート。 ・一色:同一の色。 ・裁:裁(た)つ。裁縫をする。
※芙蓉向臉両辺開:ハスの花は、(少女の)顔に向かって(花も少女の顔も)双方が(美しいピンク色に)咲いている。 ・芙蓉:ハスの花。 ・向臉:顔に向かっての意。 ・臉:顔。 ・両辺:(ハスの花とハスを採る少女の顔との)双方。
※乱入池中看不見:(少女がハスの)池の中に紛れ込めば、(ハスの葉と少女の下半身は緑色で、ハスの花と少女の顔はピンク色で、少女の姿はハス池に紛れ込んでしまい、)見ても分からない。 ・乱入:秩序無く紛れ込む意。混入する意。 ・看不見:見ても分からない意。みて見えず。なお現代語では:(不可能を表す)見えない、見あたらない意で、現代語ではよく使われる表現。蛇足になるが、現代語では“看不見”の対義語は“看得見”((よく)みえる、(ちゃんと)みえる)。なお、“看見”は(目に入る、見かける、見える)意。
※聞歌始覚有人来:(少女の)歌声が聞こえてきて、やっと、だれか人がいるのがわかってくる。 ・聞歌:歌が聞こえる意。「聞」は「聞こえる、耳に入ってくる」の意。なお、「聽」は「(耳をすまして)きく、(主体的に)きく。」意。 ・始:やっと。はじめて。 ・覚:わかる。 ・有人来:だれか来た、の意。だれか人がいる意。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「裁開來」で、平水韻上平十灰。この作品の平仄は、次の通り。
○●○○●●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
●●○○◎●●,
○○●●●○○。(韻)
2013.7.1 7.2 |
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