詠史詩 南陽 | |
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唐・胡曾 |
世亂英雄百戰餘,
孔明方此樂耕鋤。
蜀王不自垂三顧,
爭得先生出草廬。
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世 亂れて 英雄 百戰餘,
孔明方 に此 に耕鋤 を樂しむ。
蜀王自 ら 三顧を垂 れざれば,
爭得 か 先生 草廬を出 でんや。
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◎ 私感註釈
※胡曾:〔こそ(こそう?);Hu2 Ceng2〕晩唐の詩人。邵陽(現・湖南省内)の人。生歿年不詳。
※詠史詩 南陽:歴史故事に題材を求めた詩で、南陽の町(の諸葛亮の家に、劉備が三度、訪れた「三顧の礼」)を詠う。 ・詠史詩:歴史故事に題材を求めた詩。ここでは、蜀の劉備が三顧の礼を以て諸葛孔明を迎えた史実をいう。 ・南陽:現・河南省にある都市名。諸葛孔明の草廬や(諸葛孔明の)武侯祠がある。
※世乱英雄百戦余:(後漢末、反乱が続発し、やがて、三国時代となり、)世の中が乱れて、(曹操や劉備らの)英雄が何度も戦った後。
※孔明方此楽耕鋤:諸葛孔明が、ちょうどここで、農事を行うことを楽しんでいた。 ・孔明:諸葛孔明(=諸葛亮)のこと。孔明は字。 ・方:ちょうど。まさに。 ・此:ここ。 ・耕鋤:(土を掘り起こして田畑を)たがやすこと。農事を行うことを謂う。
※蜀王不自垂三顧:蜀の劉備が、自分から三顧の礼を示さなかったとしたら。 ・蜀王:劉備を指す。 ・自:自分で。自分から。 ・垂:のこす。しめす。たれる。 ・三顧:三顧の礼を謂う。劉備が三度、諸葛亮の家に訪れ、やっと幕下に迎えることができたこと。
※争得先生出草廬:どうして、先生(=諸葛孔明)を(彼の)草庵から出すことができただろうか。 ・争得:何とか…したいもの。何とか…できないものか。どうして。いかでか。 ・先生:ここでは、諸葛孔明を指す。 ・草廬:草で作った小さな家。草庵ここでは、諸葛孔明が隠棲していたところを指す。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「餘鋤廬」で、平水韻上平七虞。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
●○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2018.8.29 8.30 |
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